司法試験・予備試験・ロー入試に向けた会社法

司法試験上位合格者が会社法についてわかりやすく解説します

会社法事例演習教材の解答例Ⅰ-7(設例7-1後半)直接損害・間接損害の意味、法人格否認の法理

こんにちは、コポローです。

今日は会社法事例演習教材(第4版)Ⅰ-7(設例-1後半)の解答例を紹介します。

テーマは、 直接損害・間接損害の意味、法人格否認の法理です。

   

 

 

 

 

試験に出やすい超重要テーマなので、しっかり勉強しましょう!

量が多いので、前半と後半の2回に分けて解説していて、今回は後半です。

 

前半の解説はこちらです↓

kaishahou.hatenablog.jp

   

 

 

 

Q6

 判例最大判昭和44年11月26日会社法判例百選第4版66事件・第3版70事件)によれば、会社法429条1項の責任は特別の法定責任であり、不法行為責任(民法709条)と両立するので、Q社は不法行為責任を請求することもできる。

 

もっとも、不法行為が成立するには、違法な欺罔行為が必要であり、単に黙って取引をしたにすぎない場合は、不法行為は成立しない。

 

※なお、直接損害限定説(上記最大判の松田裁判官反対意見)によれば、会社法429条1項は、民法709条の特則なので、709条に基づく請求はできない。

 

不法行為責任では、Q社への加害に対する故意過失が必要となる。

他方、429条1項では、悪意・重過失が要件となるが、その対象は、相手方(Q社)への加害ではなく、会社(P社)に対する任務懈怠 である(相手方への加害に対する故意過失は不要)。

   

 

 

 

 

(3)法人格否認の法理

Q7

法人格否認の法理が適用されると、当該請求についてP社をAと同一視することになり、AもP社の債務を履行する義務を負うことになる(株主有限責任の否定)。

 

Q8

法人格否認の法理には、濫用事例と形骸化事例がある。

本件では、法人格の濫用はなく(違法・不当な目的のために会社を設立したわけではない)、問題となるのは形骸化があるかどうかである。

形骸化事例に該当するかどうかは、設例に書かれた事情だけでは分からない。

Aが全額出資しているからといって法人格が否認されるわけではない(さもなければ完全親子会社においては常に法人格が否認されてしまう)。

判例では、形骸化事例に該当するかは、いろいろな事実を積み重ねて総合的に判断される。たとえば、株式会社の機関構成の無視(株主総会や取締役会の不開催)、法律で要求される手続の不遵守、会社と株主の財産が分別管理されていないこと等の多くの事情があれば、形骸化が肯定されやすい。

 

   

 

 

しかし、裁判例の挙げる事情が、なぜ会社債権者を保護すべき根拠となるかは不明である。会社債権者を保護すべき実質的理由(取引相手の誤認・過少資本など)を理由とすべきであるとの批判がある(江頭など)。

 

法人格否認の法理については、最判昭和44年2月27日会社法判例百選第4版3事件・第3版3事件(後藤元解説)を参照してください。

 

会社法429条と法人格否認の法理は、試験にも出やすい領域なので、詳しめの教科書や判例百選でしっかり復習しましょう。

それでは、また次回! 

 

 

 

 

 

 

  

 

 設例7-2の解説はこちら

kaishahou.hatenablog.jp

 

 

本ブログの人気記事です

kaishahou.hatenablog.jp

kaishahou.hatenablog.jp

kaishahou.hatenablog.jp