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会社法事例演習教材の解答例Ⅰ-7(設例7-2前半)429条1項・2項(責任主体、不実の情報開示)

こんにちは、コポローです。

今日は会社法事例演習教材(第4版)Ⅰ-7(設例7-2前半)の解答例を紹介します。

テーマは、429条1項・2項(責任主体、不実の情報開示)のです。

応用論点ですが、しっかり勉強しましょう! 

量が多いので、前半と後半の2回に分けて解説します。今回は前半です。

   

 

 

 

(1)Aの責任

Q1

会社法429条2項に基づき損害賠償請求をすることが考えられる。

要件①Aが計算書類の虚偽記載をしたこと(429条2項1号ロ)、②Q社の損害、③因果関係。

Aは無過失の抗弁を主張することができる(429条2項但し書き)

 

本件では、①②③の要件は満たされ、Aの無過失は認められないと考えられる。

 

※429条1項と比較すると、軽過失でも責任を負う点、および過失の立証責任が転換されている点で、429条2項のほうが原告に有利である。

   

 

 

Q2

判例(名古屋高判昭和58年7月1日会社法判例百選第2版74事件)は、「会社四季報」を見たに過ぎないとして、会社法429条2項の適用を否定した。

 

しかし、このように虚偽記載のある計算書類を直接参照したことを要求することには、学説からの批判が強い(江頭など)。

情報は拡散・流通するので、直接参照していなくても、虚偽記載の影響を受けることは十分にあり、そうした影響を受けた者も保護されるべきだからである。

その後の裁判例は、計算書類を直接見ていない第三者も保護する傾向にある(横浜地判平成11年6月24日判時1716号144頁)。

 

※「会社四季報」は、東洋経済社から年4回発行される、上場企業全社の業績・財務状況・株主構成などの情報がまとめられた雑誌であり、相当数の投資家がこれを参考に株式投資を行っている。私も、参考にしてます(笑)。←SBI証券のホームページやアプリから無料で閲覧することができ、便利です。

 

 

Q3

不法行為に基づく請求もできる(要件的には、Q1で見た通り、429条2項の方が容易である)。

不法行為の成立には、取引上の駆け引きを逸脱した「違法な欺罔行為」が必要である。ここでは、虚偽記載のある計算書類 をAが提供していることから、「違法な欺罔行為」が認められるであろう。 

 

 

 

 

 

(2)Bの責任

Q4

Bに対しては、 429条1項に基づく、損害賠償を請求できる。

悪意又は重過失による任務懈怠が要件となるが、虚偽記載を知りながら、計算書類の承認決議に賛成しており、悪意による任務懈怠を 認定できよう。

 

※429条2項は「虚偽の計算書類を作成した者」に適用されるところ、Bはこれにあたらないので、429条1項に基づく請求が考えられる。

   

 

 

 

 

設例7-2の前半の解説は、以上です。

 

詳しめの教科書・判例百選でしっかり復習しましょう!!

それでは、また次回!

 

後半の解説はこちらです。

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