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会社法事例演習教材の解答例Ⅰ-7(設例7-3)429条1項の第三者の範囲

こんにちは、コポローです。

今日は会社法事例演習教材(第4版)Ⅰ-7(設例7-3)の解答例を紹介します。

テーマは、 429条1項の第三者の範囲です。

試験によく出る重要なテーマなので、しっかり勉強しましょう! 

   

 

 

 

(1)株主の間接損害

Q1

株主の間接損害 (株式価値の低下)について、429条1項に基づく損害賠償ができるかどうかについては、争いがある。

 

多数説・裁判例東京高判平成17年1月18日金判1209号10頁)は、間接損害について、株主は「第三者」に該当しないと考える

※上記東京高判は、不法行為(民709)の事例だが、会社法429条にも同様に妥当すると高裁自体が述べている。

 

理由は以下の通り。

会社に対する責任と株主に対する責任の両方を認めると、取締役の二重責任になりかねない。他方、株主に対する責任を履行すれば会社に対する責任が一部免除されるとすれば、会社法424条以下の潜脱になる、いち早く請求した株主の早い者勝ちになる、会社債権者が害されるおそれがある(株主は本来、債権者に劣後すべき地位にあり、債権者に優先して救済されるべきではない)という問題が生じる。

株主の間接損害は、代表訴訟により会社財産の回復を通じて救済されるべきである。

 

もっとも、(支配株主が経営者を兼ねている)閉鎖的な会社における少数株主については、会社の損害が回復しても、加害行為が繰り返されて実質的な救済にならないという理由で、429条1項の損害賠償を認めるとする見解が有力(江頭、田中亘など。上記東京高判も傍論において、その余地を認めている)。

しかし、実効的な救済にならないからといって429条1項の損害賠償請求権を認めてよいかは疑問もある。

少なくとも、会社財産が不足していて、債権者を害する可能性がある場合には、少数株主による429条1項に基づく損害賠償請求も認めるべきではないであろう。

 

   

 

 

 

 

(2)取締役Bが債権者として受けた間接損害

Q2 

 あまり十分には議論されていないが、2通りの見解がある。

 

①429条1項の請求を認めても良いとする見解

取締役であるからといって、一切責任を否定するのは行きすぎであり、過失相殺によって調整するのが合理的である。

→本件では、Bは429条1項の損害賠償請求をすることができるが、Bには監視義務違反があることから、過失相殺により、損害賠償の額が減額される。

 

②第三者に該当しないとする見解

横浜地裁昭和58年3月17日判時1095号150頁は、原告(資金調達を担当する経理部長)が実質上の取締役(上級使用人であるが取締役と同等の待遇を受けていた者)であったとし、代表取締役の職務執行を監視すべき義務を怠ったとして、責任の一端を担うべきであることから、429条1条の第三者に該当しないとした。

→本件でも、Bは取締役として、Aを監視すべきであったのに、経営をAに任せきりにしていたのであり、任務懈怠があるから、「第三者」には該当しない。

 

 

 

 

設例7-3の解説は、以上です。

 

今回は基本的な論点と応用的な論点でした。詳しめの教科書でしっかり復習しましょう!!

それでは、また次回! 

 

 

 

 

 

 事例7-4の解説はこちら

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