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会社法事例演習教材の解答例Ⅰ-7(設例7-4)会社法429条の責任と登記

こんにちは、コポローです。

今日は会社法事例演習教材(第4版)Ⅰ-7(設例7-4)の解答例を紹介します。

テーマは、 会社法429条の責任と登記です。

応用問題ですが、試験に出やすい重要なテーマなので、しっかり勉強しましょう! 

   

 

 

 

(1)取締役の辞任

Q1

会社と取締役との間の法律関係は、民法の委任の規定に従うことから(会社法330条)、取締役はいつでも辞任することができる(民法651条1項)。

 

法的には、取締役からの委任契約の解除であり、会社の承認は不要である(辞任の意思表示が会社(代表取締役)に到達したとき、効力が生じる)。

 

※ただし、取締役に欠員が生じるときは、新たな取締役が就任するまで。なお、取締役としての権利義務を有し続ける(会社法346条1項)。「代表」取締役についても同様の規定がある(351条1項)。→Q2へ。


 

 

 

 

Q2 

本件では定款に取締役および代表取締役の員数に関する定めはない。

P社が取締役会設置会社であっても、まだ3名の取締役が存在するから、331条5項には違反しない。また、代表取締役もB以外に1名いるため、362条3項違反も生じない。

よって、欠員は生じず、346条1項・351条1項の適用はない。

 

   

 

 

 

(2)会社法429条1項に基づく責任

Q3

Bが辞任後も積極的に対外的・内部的な行為をした場合、または、不実登記の残存に明示的な承諾を与えていたなどの特段の事情のある場合、908条2項類推適用により、Bは会社法429条1項の責任を負う(最判昭和62年4月16日会社法判例百選第4版68事件・第3版72事件)。

 

※908条2項が直接適用されるのは登記義務者(=会社)であり、ここではBへの適用であるから「類推」適用となっている。

 

※不実登記の残存を知っていた・黙認していただけではダメで(辞任している以上、取締役としての権利義務はないので、簡単に帰責性を認めてはいけない)、明示的に承諾しているといった事情が必要であることに注意。

 

本件では、Bは就任登記の残存を明示的に承諾しているので、908条2項類推適用・429条1項に基づき、責任を負う。

   

 

 

 

Q4 

登記を見たことを要求すべきかについて、学説の対立がある。

 

①登記を見たこと(その結果、登記の内容を信頼したこと)を必要とする見解(鴻など)

 

②登記と事実の不一致を知らないこと(大隅など。多数説か)

→本件ではBが取締役でないことを知らなかったこと(Bが取締役だと信じていればよく、登記を見ている必要はない)が善意の内容になる。

 

いずれの見解によっても、Q社は保護されないと考えられる。

Q社は、取引の当時、Bの存在を知らず、倒産後初めてBの存在を知っただけである。908条2項が(類推)適用されるには、取引の当時、登記を見たこと(上記①説)または登記の基礎となる実態(Bが取締役であること)を信頼していたこと(上記②説)が必要で、その信頼を保護するのが908条2項の趣旨である。

 

※もっとも、取締役会設置会社であれば、取締役は少なくとも3人は存在するから、少なくとも誰か3人は取締役になっているという信頼はありうる。

   

 

 

 

Q5

取締役でないのに取締役の職務を行った者については、「事実上の取締役」の理論により、429条1項を類推適用することが考えられる。

上記最判昭和62年4月16日会社法判例百選第4版68事件・第3版72事件も、辞任後も積極的に対外的・内部的な行為をした場合、429条1項の責任を認めている。

 

下級審判決でも、このような理論構成をとって、事実上の取締役の対第三者責任を肯定したものがいくつかある。

取締役でない支配株主が、事実上取締役のように行動しているときにこのような構成がよくとられる。

 

 

 

設例7-4の解説は、以上です。

 

今回は応用的な論点でした。詳しめの教科書と百選解説でしっかり復習しましょう!!

それでは、また次回!

   

 

 

 

 事例8-1の解説はこちら

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