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会社法事例演習教材の解答例Ⅰ-8(設例8-2(中))有利発行・不公正発行と発行後の救済方法

こんにちは、コポローです。

今日は会社法事例演習教材(第4版)Ⅰ-8(設例8-2(中))の解答例を紹介します。

テーマは、有利発行・不公正発行と発行後の救済方法です。

試験に頻出の重要テーマなので、しっかり勉強しましょう! 

量が多いので、上・中・下の3回に分けて解説します。今回は中です。

 

上の解説はこちら↓

kaishahou.hatenablog.jp

   

 

 

 

(1)有利発行・不公正発行等と新株発行無効事由

Q5

本件新株発行が有利発行に該当するか否かについての情報は、金商法4条1項に基づく届出に記載され、公表されているので、Qには差止の機会が保障されていたといえる。

 

 

Q6

本件新株発行が 不公正発行に該当するか否かについての情報も、上記の届出に記載されていたが、R社との資本業務提携が2年前から協議されてきたものであるという虚偽の情報が記載されており、当該情報は不公正発行 に該当するかどうか(本件新株発行の主要な目的)を判断するにあたって極めて重要な情報であるといえるから、Qには不公正発行を理由とする差止の機会が保障されていたとは言えない。

   

 

 

Q7

問題文記載のa~cの事情がある場合、本件新株発行により、R社がP社の支配株主になる(子会社保有分も含め50%超の議決権を保有する株主となる)。

このような支配権の異動を伴う新株発行においては、P社は特定引受人(R社)の氏名(名称)・住所・特定引受人(子会社等を含む)が有することとなる議決権数などを株主に通知するか公告するかしなければならない(206条の2第1項・2項)。

金商法4条1項に基づく届出をもってこれに替えることができる(同3項)が、本件では、R社の子会社が保有する株式数が届出に記載されておらず(問題文dの事情)、同条の手続に違反していることになる。 

 

なお、10%以上の議決権を有する株主(Qもこれに当たる)が、このような新株発行に反対した場合、会社は、原則として、株主総会から普通決議による承認を受けなければならない(206条の2第4項)。

 

206条の2の定める手続の違反は、新株発行の差止事由(210条1号)に該当するであろうが、新株発行の無効事由に該当するかどうかは明確でない。

判例の考え方(Q4参照)によれば、206条の2違反だけでは無効事由とはならず、差止の機会も保障されていない場合にのみ無効事由になると考えられる。

しかし、本件では、届出の虚偽記載(問題文の事情d)が法令違反(206条の2第1項違反)の内容であり、これは差止めの機会をも奪う法令違反といえるので、上記の考え方に立ったとしても、無効事由が認められよう。

 

※206条の2は、平成26年会社法改正で導入された制度で、内容・手続も複雑であるため、いろいろな瑕疵が考えられる。それらの瑕疵が差止請求や新株発行の無効訴訟においてどのように扱われるかが判例上明確でない。教科書等を読んで各自で考えてほしい。

 
 

 

 

 

 

設例8-2(中)の解説は、以上です。

 

今回のテーマは、試験に頻出の重要論点なので、詳しめの教科書でしっかり復習しましょう!!

それでは、また次回!

   

 

 

 

 

 

 設例8-2(下)の解説はこちら

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