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会社法事例演習教材の解答例Ⅰ-8(設例8-3前半)新株発行無効と新株発行不存在

こんにちは、コポローです。

今日は会社法事例演習教材(第4版)Ⅰ-8(設例8-3前半)の解答例を紹介します。

テーマは、新株発行無効と新株発行不存在です。

試験に頻出の重要テーマなので、しっかり勉強しましょう! 

量が多いので、前半と後半の2回に分けて解説します。今回は前半です。

 

 

 

 

 

(1)新株発行無効の訴え(ストーリー1)

Q1

P社は取締役会設置会社でないので、非公開会社である(327条1項1号参照)。

非公開会社(全ての株式に譲渡制限のある会社)では、公開会社の場合以上に、株主が持株比率に大きな利害関権を持つ。したがって、株主は原則として新株引受権を有すると考えれ、株主割当て以外の方法で新株を発行するには株主総会の特別決議が必要になる(199条)。

非公開会社で、株主総会の特別決議なしに株主割当以外の方法で、新株を発行することは発行手続の重大な法令違反であり、新株発行の無効原因となる(最判平成24年4月24日会社法判例百選第4版26事件・第3版29事件)。

 

C・Dは、本件新株発行①は株主総会の特別決議なしになされたものであるとして、新株発行無効の訴えを提起することができる(828条1項2号)。

   

 

 

 

Q2

C・Dに新株発行を気付かれずに、新株発行無効の訴えにかかる1年間の提訴期間(828条1項2号括弧書き)を過ぎさせるため。 

 

 ⇒

公開会社では、取締役会限りで新株を発行できるが、通知等(201条3~5項)がされるため、株主は気付くことができる。

非公開会社では、通知等が不要で、株主総会決議なしに新株が発行されると、株主は新株発行があったことにすぐには気づきにくいが、1年あれば、定時株主総会を経るので気づくはずだということで、提訴期間が1年となっている。

 

   

 

 

 

Q3

認められないというべきである。

出訴期間の経過は、本来、被告の援用がなくても、裁判所が職権で判断・適用して、訴えを却下するというものであり、信義則上、出訴期間を援用することができないと理屈は成り立たないはずである(ただし、そのような理屈におり提訴期間経過後の新株発行無効の訴えを適法とした裁判例もある。名古屋地判平成28年9月30日判時2329号77頁)。

また、登記はされている(議事録も作成されている)ので、新株発行を全く知り得なかったともいえない。

   

 

 

 

Q4

学説が分かれるところである。

登記もされていなければ、新株発行の事実を知ることは極めて難しいので、無効の訴えの提訴期間の始期を登記日と解釈すべきとの見解もありえよう。ただ、解釈論として難しいことは否めない。

 

また、登記もされていない場合は、瑕疵がより大きいと評価して、新株発行不存在事由があるとして、新株発行不存在確認の訴えの提起を認めるという解釈もありえよう(提訴期間なし)。

 

 

設例8-3の前半の解説は、以上です。

 

今回のテーマは、重要な論点なので、詳しめの教科書・判例百選でしっかり復習しましょう!!

それでは、また次回!

   

 

 

 

設例8-3後半の解説はこちら

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