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会社法事例演習教材の解答例Ⅰ-8(設例8-3後半)新株発行無効と新株発行不存在

こんにちは、コポローです。

今日は会社法事例演習教材(第4版)Ⅰ-8(設例8-3後半)の解答例を紹介します。

テーマは、 新株発行無効と新株発行不存在です。

 

試験に出やすい超重要テーマなので、しっかり勉強しましょう!

量が多いので、前半と後半の2回に分けて解説していて、今回は後半です。

 

前半の解説はこちらです↓ 

kaishahou.hatenablog.jp

   

 

 

 


(2)払込みの欠缺と新株発行の効力(ストーリー1)

Q5

(2)に事情がある場合、出資の履行は全くないことになる。

この場合、新株発行の実体がないとして、新株発行は不存在であると評価することができる。

 

※なお、第3版までは見せ金の事例だった。見せ金の場合でも、実質的に払い込みがあったとはいえず、本件では、新株発行の手続も全く無視されている(議事録と登記だけがある)ので、新株発行不存在事由となりうる。

 

※伝統的に、新株発行不存在とは、新株発行の事実が全くないにもかかわらず、新株発行がなされたという外観(登記や議事録)が存在している場合をいうとされてきた。

すなわち、株主総会決議不存在では、手続違反の著しい場合も含んでいるが、新株発行不存在は物理的に存在しない場合のみを指すと解されてきた(名古屋地判平成28年9月30日金判1509号38頁)。

もっとも、近時の学説では、著しい手続違反の場合も新株発行不存在とすべきであるとの立場が有力に主張されている(田中亘『会社法』第3版531頁、高橋美加『会社法』第3版325~326頁参照)。著しい手続的瑕疵がある場合は、遡及効のない無効の訴えではなく、(遡及効のある)不存在の主張を認めるべきであるというのである。

 

   

 

 

 

Q6

新株発行不存在は、いつでも誰でもどのような方法でも主張することができ、出訴期間の制限はない(最判平成15年3月27日民集57巻3号312頁参照)。

よって、C・Dは解任決議の取消しの訴え(決議方法の法令違反を主張)を提起して争うことができる。

また、本件では、瑕疵が大きいため、解任決議が不存在であると主張して、解任決議不存在の訴え等を提起することも考えられる。

 

新株発行に無効事由があるにすぎないときは、新株発行の効力発生日から6か月以内に、無効の訴えを提起して、請求認容(形成)判決を得ることが必要になる(828条1項2号)。また、勝訴判決には、将来効しかない(839条、834条2号)。

 

Q7

 勝訴判決に対世効が生じ(838条)、紛争の画一的解決を図ることができるというメリットがある。

 

   

 

 

(3)共有株式の権利行使者の指定方法(ストーリー2)

Q8

遺産分割が行われるまでの間、株式は相続人間で準共有される(民898)。

※正確には準共有だが(民264)、会社法106条の表記に合わせて、「共有」と書いても問題ないと思われる。

 

会社法106条本文により、 権利行使者を一人定めて、会社に対して、その氏名を通知しなければならない。権利行使者を定めるにあたっては、共有者間において、持分の価格に従いその過半数で決定することになる(最判平成9年1月28日会社法判例百選第4版10事件・第3版11事件)。この背後には、権利行使者の指定は、共有物の管理行為(民252)に相当するとの考え方があるとも言われる。

 

本件では、相続分はB~Eで均等であり、B・EとC・Dとが対立しているため、権利行使者を指定することができず、本件相続株式について誰も議決権を行使することができない。

 

※各準共有者は、会社法313条に基づき、議決権の不統一行使をすることができるとする見解も少数説としてある。

   

 

 

 

Q9

最判平成27年2月19日会社法判例百選第4版11事件・第3版12事件によれば、会社法106条本文は民法264条但書の「特別の定め」に該当し、会社法106条但書が「この限りでない」としているのは、原則である民法のルールに戻るという趣旨である。

よって、この場合、議決権行使は原則として民法252条本文により、持分の価格の過半数で決せられる

本件のように、これに反する株主権の行使が行われても、無効である。(この意味で本件合意は無効である。さもなければ、共有者の一部と会社代表者が結託して、不適切な議決権行使がなされてしまう。)

 

※本判決については、百選の解説や詳しい文献で勉強しましょう!

 

   

 

 

Q10

上述のように、本件相続株式にかかる権利行使者の指定はなく、Eの議決権行使は違法・無効であるところ、本件株主総会における決議は、決議方法の法令違反で取消事由がある(831条1項1号)。

また、本件相続株式は、発行済株式の80%にあたるから、決議不存在と解することもできよう。

 

したがって、本件新株発行②は、非公開会社において適法な株主総会決議なしに(株主割当て以外の方法で)なされたものであり、無効事由が存在することになる(最判平成24年4月24日会社法判例百選第4版26事件・第3版29事件参照)。

 

C・Dは、新株発行無効の訴えを提起することができる。通説によれば、株主総会決議取消訴訟は無効の訴えに吸収されると解される。提訴期間3カ月は残る(通説)。髙橋美加ほか『会社法(第3版)』324頁参照。

 

※無効の訴えと決議取消訴訟との関係については、異説(併存説)もある。この点は、田中亘『会社法〔第3版〕』700頁など詳しめの教科書を参照。

 

株式の共有者であるC・Dは原則として株主訴訟における原告適格が認められないが、 本件のような会社法106条違反の決議がされた場合にそれを争うために訴訟を提起する際は、特段の事情があるとして、原告適格が認められる(最判平成2年12月4日会社法判例百選第4版9事件・第3版10事件)。※民法的には保存行為ということもできる。

   

 

 

 

今回は非常に重要なテーマ・判例を取り上げました。詳しめの教科書・百選解説でしっかり復習しましょう。

※下記本のパート4の解説もおすすめです。

 

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それでは、また次回! 

 

   

 

 

  

設例9-1の解説はこちら

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