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会社法事例演習教材の解答例Ⅰ-9(設例9-2)財産引受け

こんにちは、コポローです。

今日は会社法事例演習教材(第4版)Ⅰ-9(設例9-2)の解答例を紹介します。

テーマは、財産引受けです。

試験に出やすい重要なテーマなので、しっかり勉強しましょう! 

 

 

 

 

 

 

(1)定款に記載のない財産引き受けの効力

Q1

 目的物の価額が過大評価されると、会社の財産的基礎が危うくなり、かつ、現物出資に関する規制を潜脱する方法として財産引受けが用いられる可能性があるから、会社法は財産引受けを変態設立事項として(会社28条2号)、定款への記載と検査役の調査を要求している。 

 

共通点:

いずれも目的物が過大に評価されると会社財産を害する危険があるため、変態設立事項として、定款への記載と検査役の調査が要求されている点

 

相違点:

①現物出資の法的性質は出資であるのに対して、財産引受けは会社の成立を停止条件とした契約(単なる取引行為)である点

②現物出資は発起人のみが行うことができるが、財産引受けは誰でもできる点

   

 

 

 

Q2

定款に記載のない財産引受けは無効である(最判昭和28年12月3日民集7巻12号1299頁、最判昭和61年9月11日会社法判例百選第4版5事件・第3版6事件)。

 

 

Q3

判例最判昭和28年12月3日民集7巻12号1299頁、最判昭和61年9月11日会社法判例百選第4版5事件・第3版6事件)および通説は、無効主張は特段の事情のない限り相手方(B)もすることが可能である。

理由は、会社のみが無効主張できるとすると相手方は著しく不安定な立場に置かれてしまうから。

 

※少数説として、会社を保護するための制度であるから、会社側のみ無効主張することができるとする見解がある。

この見解は、相手方の保護については、相対的無効構成や民法114条・115条の類推適用によって図るべきであるとする。


 

 

 

 

Q4

判例最判昭和28年12月3日民集7巻12号1299頁、最判昭和61年9月11日会社法判例百選第4版5事件・第3版6事件)および有力説(江頭)は、追認はできないとする。

その理由として、会社法が変態設立事項に関して詳細な規律を定めているのは、成立後の会社財産を安定させるためであり、追認を認めることは、こうした法の趣旨に反することが挙げられる。また、現物出資規制の潜脱防止も理由に挙げられる。

 

※もっとも、追認は可能であるとする反対説も、有力である。

この見解は、財産引受け規制は、会社保護のための制度であるから、会社が有利な取引を追認することは認めてよいと考える。

追認できないとして、相手方が無効主張できるとすると、相手方の機会主義的な行動を許すことになってしまう(新たに契約をするとしても相手方の同意が必要になってしまう)ことを問題視する。

 

→反対説の立場に立つと、追認の意思決定機関が問題となるが、比較的小さな取引は代表取締役、重要な取引は取締役会(362条4項1号)、事後設立に相当するときは株主総会の特別決議(467条1項5号類推適用)となろう。

   

 

 

 

(2)定款に記載のない財産引受けについての発起人の責任

Q5

会社の成立を条件としていつるため、A個人を当事者とする取引とは見にくい。

よって、民法117条1項を類推適用することが考えれれる。(「類推」適用なのは、本人である会社が取引時点ではまだ成立していないため)

 

 

Q6

民法改正前は、117条2項2号但書きがなかったため、Bに過失があるかどうかについて、下記(★)のような議論があった。

今では、民法改正により117条2項2号但書きが創設され、Bに仮に過失があったとしても、Aは自己に代理権がないこと(財産引受の手続を遵守していないこと)を知っているから、民法117条1項の類推適用は否定されない。

 

 

★Bに過失があるかどうかについて、2つの考え方がある。

①Bに過失があるため、民法117条1項の類推適用が否定される(民法117条2項2号)とする考え方。

最判昭和42年9月26日民集21巻7号1870頁も、会社成立を条件として、設立中の会社の代表者がした取引について民法117条1項の類推を否定する。

 

②過失は肯定されないとする見解(事例演習教材の第3版までは参考文献に挙げられていた、今井宏「財産引受」商法の判例(第3版)17頁の見解)

設立中の会社であることを知っても、定款記載等の要件が充足されれば財産引き受けは有効なのであるから、直ちに「過失アリ」とはならない。

また、定款を見なったことが過失に当たるかも疑問(相手方は、特に疑わしい事情のない限り、定款記載(発起人が手続を遵守すること)を信頼してよい)。

117条2項2号の適用があるのは、相手方も発起人であったような場合に限られるとする。

 

 

 

 

Q7

特段疑わしい事情のない限り、過失なしとされやすい。

最判昭和33年10月24日会社法判例百選第4版4事件・第3版5事件(大映スターズ事件)参照。)

 

設例9-2の解説は、以上です。

 

 

 

 

 

今回のテーマは、重要かつ難解な論点なので、詳しめの教科書・判例百選でしっかり復習しましょう!!

それでは、また次回!

  

 

 

 

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設例9-3の解説はこちらです。

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