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会社法事例演習教材の解答例Ⅰ-9(設例9-3前半)他人名義による引受け、出資の払込みの仮装

こんにちは、コポローです。

今日は会社法事例演習教材(第4版)Ⅰ-9(設例9-3前半)の解答例を紹介します。

テーマは、他人名義による引受け、出資の払込みの仮装です。

難しいテーマなので、しっかり勉強しましょう!  
 

 

 

 

(1)他人名義による株式の引受け

Q1

 

他人の承諾を得て他人名義により株式を引き受けた場合における、当該株式(いわゆる名義株)の株主権の帰属については、古くは議論が盛んであったが、現在では、名義人の同意の有無を問わず、実質上の引受人が株主となるとする見解(実質説)が、判例および通説となっている(最判昭和42年11月17日会社法判例百選第4版8事件・第3版9事件〔神作解説参照。←令和3年度司法試験考査委員です〕)

 

実質説においては、実質上の引受人をどのように判断するかが重要な問題となる。

その判断においては、出資の履行が誰の出捐によるものであったかが重視されている。

もっとも、出捐者が誰であるかは、決定的な要素ではない。決め手となるのは、誰を実質上の引受人とするかに関する、実際に申込み・払込みをした者の意思または関係当事者間の合意であり、その探求に際しては諸般の事情が考慮される。

出捐は一つの重要な考慮事情にとどまり、特に同族経営の会社においては、その意義は相対化しうる(親が子に事業を承継させようとして、お金を出してあげることがある)。

 

本件では、Cは名前を出したくないという理由で、あくまで自分が出資者となる意思で出資をしていることから、Cが引受人となる。

 

※なお、Aが他人Bの承諾を得ないで、他人Bの名義を勝手に使って、株式を引き受けた場合には、当然ながら、Aが株式引受人となる。

   

 

 

 

Q2

発起人が、引受人をDであると誤認したとき、名板貸人の連帯責任に関する商法14条(Dが会社の場合は会社法9条)の類推適用により、Dも払込みの責任を負うと解される( 江頭『株式会社法(第8版)』98頁参照)。

このように解する場合、P社はDに対して出資の履行を求めることができる。

 

 

 

 

 

 

(2)払込みの仮装

Q3

Aの払込みには、見せ金に該当しうるという問題がある。

見せ金とは、発起人等が第三者(払込取扱銀行のこともある)から金銭を借り入れて払込みに充てた後、成立後の会社の取締役等に就任して払込金を引き出し、当該借入金の返済に充てる行為をいう。

 

見せ金に該当するかは事実認定の問題となる。

一般的には、①会社成立後、借入金を返済するまでの期間が短いか、②出資した財産が会社の運転資金として使われた形跡があるか、などの諸般の事情を考慮して、最初から払い込みを仮装するつもりであったことが認定されれば、「見せ金」となる。

※見せ金になるかは、下線部のように主観的意図の問題だが、直接それを立証・認定することは難しいので、①②などの客観的な間接事実から立証・認定することになる。

 

「見せ金」は、実質的に払込みがあったものと解することができないから、払込みとして無効である(最判昭和38年12月6日会社法判例百選第4版7事件・第3版8事件)。

   

 

 

預け合いとは、発起人が払込取扱機関の役職員と通謀して出資金の払込みを仮装する行為をいう。

共通点:どちらも「払込みの仮装」に当たる点

相違点:①払込取扱機関の役職員との間に払い込みの仮装に関する通謀があるのが預け合いであり、通謀がないのが見せ金である。

②預け合いは会社法上の犯罪(965条)であるが、見せ金はそれ自体は犯罪ではない(もっとも、無効な払込の証明書を示して登記を行うので、公正証書原本不実記載罪・同行使罪(刑法157条1項)になる。)。

 

設例9-3(前半)の解説は、以上です。

   

 

 

 

 

今回のテーマは、重要かつ難解な論点なので、詳しめの教科書・判例百選でしっかり復習しましょう!!

それでは、また次回!

 

後半の解説はこちらです

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