司法試験・予備試験・ロー入試に向けた会社法

司法試験上位合格者が会社法についてわかりやすく解説します

会社法事例演習教材の解答例Ⅰ-9(設例9-3後半)出資の払込みの仮装

こんにちは、コポローです。

今日は会社法事例演習教材(第4版)Ⅰ-9(設例9-3後半)の解答例を紹介します。

テーマは、出資の払込みの仮装です。

重要テーマなので、しっかり勉強しましょう! 

量が多いので、前半と後半の2回に分けて解説します。今回は後半です。

 

 

 

 

 

前半の解説はこちらです↓

kaishahou.hatenablog.jp

 

(2)払込みの仮装(承前)

※以下の規律は平成26年会社法改正の際に設けられたもので、裁判例が十分に存在せず、学説上の議論がまだ確立していない・細かい議論が詰められていない部分がある。

 

Q4

①発起人が見せ金により出資の履行を仮装し、有効な出資の履行が認められない場合、成立後の会社に対して、当該仮装の出資に係る払込金額の支払をする義務を負う(52条の2第1項1号)。

②また、見せ金は、発起人の任務懈怠になるといえ、それによって事業に支障が生じるなどして会社に損害が生じた場合には、損害賠償責任の負う(53条1項)。

 

※発起人としての責任ではないが、、、

③P社からAへの貸付けは利益相反取引(直接取引)にあたる(356条1項2号)。これにより会社に損害が生じた場合、Aは任務懈怠が推定され(423条3項1号)、任務懈怠責任を負う(423条1項)。なお、Aの責任は428条1項により無過失責任である。

   

 

⇒ 

設立時募集株式の引き受け人も、出資の払込みを仮装した場合、成立後の会社に対して仮装払込みに係る払込金額の支払をする義務を負う(102条の2第1項1号)。

 

 

Q5

①発起人Bは、出資の履行の仮装に関与した場合、成立後の会社に対して、当該仮装払込に係る払込金額の支払をする義務を負う(52条の2第2項、会社法施行規則7条の2)。

②Bは、見せ金に関与するなど、発起人としての任務を怠った場合、それにより会社に生じた損害を賠償する責任を負う(53条1項)。

 

 

Bの①の責任は、立証責任の転換された過失責任であり、Bは無過失を立証して、責任を免れることができる(52条の2第2項但し書き)が、Aについては無過失責任である(そもそもAは出資の履行をする責任があったので当然である)。

 

 

※発起人としての責任ではないが、、、

③ P社からAへの貸付けは利益相反取引(直接取引)にあたるところ(356条1項2号)、これにより会社に損害が生じた場合、Bが関与していた場合、任務懈怠が推定され(423条3項2号3号)、任務懈怠責任を負う(423条1項)。関与していなくても、監視義務違反など任務懈怠があれば、任務懈怠責任を負う(423条1項)。 

 

 

 

Q6

 Aは株主権の行使ができない(52条の2第4項)。これは、既存株主の利益保護のための規定である。

 

 ⇒1

Eは、払込みの仮装について悪意または重過失がある場合を除いて、株主権を行使することができる(52条の2第5項)。これは、取引安全を図るためである。

   

 

 

 

⇒2

株式が有効に成立しているかについては、争いがある。なお、いずれの見解を採用するかで、既存株主の救済方法(株式譲渡をどのように阻止するか)が異なる。

 

①株式は未成立で、支払義務を履行すれば株式を取得できるという一種のコールオプションが存在するのみであるとする見解(江頭・株式会社法第8版114頁)。

→会社を被告とする当該株式の不存在確認の訴えを本案訴訟として、発起人・引受人による譲渡禁止を命じる仮処分を求めることができる(民保23条1項)。

 

②有効に成立しているが、支払義務を履行するまでは、株主権の行使に制約がかかるという見解(おそらく多数説)

→既存株主は株主権に基づく妨害予防請求として、支払義務未履行の引受人による株式譲渡の差止めを請求することができる。そして、当該請求を本案として、発起人・引受人による譲渡禁止を命じる仮処分を求めることができる(民保23条1項)。

 

 

※なお「株主権による妨害予防請求権」に基づく株主総会出席への妨害禁止請求を認容した裁判例として、札幌高判令和元年7月12日金商1598号30頁がある。本判決は、弁護士による株主総会の代理出席にかかる重要裁判例として、令和2度重要判例解説に掲載されている(下記記事も参照)。

kaishahou.hatenablog.jp

 

kaishahou.hatenablog.jp

 

設例9-3の後半の解説は、以上です。
 

 

 

 

 

 

今回のテーマは、重要かつ難解な論点なので、詳しめの教科書でしっかり復習しましょう!!

それでは、また次回!

 

設例9-4の解説はこちら

kaishahou.hatenablog.jp

 

 

その他おすすめ記事です

kaishahou.hatenablog.jp

kaishahou.hatenablog.jp