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会社法事例演習教材の解答例Ⅰ-10(設例10-2)提訴請求、監査役の責任、責任軽減、和解

こんにちは、コポローです。

今日は会社法事例演習教材(第3版)Ⅰ-10(設例10-2)の解答例を紹介します。

テーマは、提訴請求、監査役の責任、責任軽減、和解です。

やや応用的ですが、試験に出やすい重要なテーマなので、しっかり勉強しましょう! 

 

   

(1)提訴前の手続

Q1

 監査役設置会社においては、847条1項の提訴請求は、監査役にしなければならない(386条2項1号)。

株主は提訴請求の宛名を監査役としなければならないところ、本問では、代表取締役Bに宛てているため不適法。代表訴訟を適しても不適法却下となる(東京地判平成4年2月13日判時1427号137頁)。

 

しかし、監査役に宛てて提訴請求がなされていなくても、監査役がその内容を正確に認識した上で、提訴すべきか否かの判断の機会が与えられていた場合には、適式な提訴請求書が送付されていた場合と同視できるから、不適法却下とならない(最判平成21年3月31日会社法判例百選第3版A19事件)。

(この判例は、農業協同組合に関するものではあるが、株式会社にも同様に妥当すると考えられている) 

 

(2)監査役の責任

Q2

 ①理由を記載させることで、役員間のなれ合いにより提訴が懈怠されることを防止するため、および ②訴訟追行上の資料収集を容易にするため(被告になる役員等の側も請求できる)

 

Q3

⇒1

監査役の提訴判断は、一種の経営判断といえる。監査役にも提訴するかどうかを判断する裁量がある。会社の最善の利益のために、提訴しないことも可能。

たとえば、取締役に資力がなくて費用倒れになる場合は、提訴しない判断をしても任務懈怠にはならない。

また、監査役が利益供与に該当しないと判断する場合も、当該判断が不合理なものでなければ、任務懈怠とはならない。

 

もっとも、Aの功績・能力(取締役でい続けてほしいこと等)を考慮したり、会社の信用を考慮して、不提訴の判断をすることが許されるかについては議論があるところ。

 

⇒2

議論があるところ。会社はAに利益供与に係る支払請求権を有しつづけているところ、それをどう評価するかは問題。提訴されない以上、それは絵に描いた餅であるとして、全額が会社の損害になるという考え方が一般的か(監査役の提訴懈怠責任が認容されることがほとんどないので、よくわからない)。

ただ、少なくとも、Aが当該責任を履行すれば、監査役の任務懈怠によって会社が被った損害もその限度でなくなる。

 

(3)責任軽減

Q4

120条4項の責任に425条の適用はない(425条は423条の責任のみに適用される)。よって、影響はない(仮に責任が軽減されるなら、その範囲で請求が一部棄却となる)。

 

Q5

 従業員が利益供与をした場合、Aは120条4項・施行規則21条の責任主体に該当しない。よって、一般の任務懈怠責任(423条1項)に基づく損害賠償責任が問題となる。ここでは、425条が適用されるが、「黙認」していることから、悪意があると言え、425条による責任の軽減は認められない。

よって、代表訴訟に影響はない。

 

 

(4)不当な和解の阻止

Q6

令和元年会社法改正前は、和解には特に規制がなく(監査役が異議を述べなければよい(850Ⅱ(386Ⅱ②)・Ⅲ・Ⅰ、民訴267)、和解を利用して容易に「責任軽減」ができてしまっていた(850Ⅳ)。

 

株主が採りうる手段としては、①853条類推に基づき再審の訴えを提起する、②監査役が和解に異議をのべなかったことについて監査役の任務懈怠責任を追及、③(和解を防ぐために)849条1項に基づき訴訟参加する(株主の同意がないと和解できない)がある。

 

なお、令和元年会社法改正により、和解には各監査役等の同意が必要となった(849条の2)。

もっとも、不当な和解の余地が完全になくなるわけではなく、なお株主は①~③の手段を採りうる。

 

 

設例10-2の解説は、以上です。

   

今回のテーマは、重要な論点なので、詳しめの教科書および判例百選でしっかり復習しましょう!!

それでは、また次回!

 

 

 

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設例10-3の解説はこちらです

kaishahou.hatenablog.jp