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会社法事例演習教材の解答例Ⅰ-10(設例10-3)担保提供

こんにちは、コポローです。

今日は会社法事例演習教材(第4版)Ⅰ-10(設例10-3)の解答例を紹介します。

テーマは、担保提供です。

やや細かいテーマですが、しっかり勉強しましょう! 

 

   

 

 

 

 

(1)不当訴訟

Q1 

責任追及等の訴えが悪意によるものであることを疎明しなければならない(847条の4第3項)。

悪意とは、提訴株主の請求に理由がなく、かつ同人がそのことを知っていること(不当訴訟要件)、または、提訴株主が代表訴訟を手段として不法不当な利得を得ようとすること(不法不当目的要件)。東京高決平成7年2月20日会社法判例百選第4版65事件・第3版68事件(蛇の目ミシン事件)参照。

 

請求に理由がないとは、①請求原因が主張自体失当であること、または②立証の見込みが低いこと、または③被告の抗弁成立の蓋然性が高いことを意味する。

 

※上記判例の前には、過失のある場合も「悪意」とする裁判例があったが、この判例の後は、過失は含まないと解するのが一般的となっている。文言解釈としても、悪意に過失を含めるのは困難であろう(悪意と同視しできる重過失なら解釈論としてありえよう)。

 

本件では、請求に理由がなさそう(Aに任務懈怠はないであろうし、損害も発生しているとはいえない)。あとはXがそれを知っていたかどうかが問題となる。

   

 

 

 

(2)不法不当目的

Q2

Q1で見たように、不当訴訟についての悪意が否定されたとしても、不法不当目的としての悪意が疎明されれば、裁判所は担保提供を命じることができる。

総会屋であるからといって、必ず不法不当目的があるとは言えないが、過去にも不法不当な目的で訴訟を提起していたことなどを疎明すれば、総会屋であることや請求の根拠の薄弱さと相まって、悪意の疎明があったといえよう(東京地判平成8年6月26日金法1457号40頁参照)。

   

 

 

Q3

請求が当該株主もしくは第三者の不正な利益を図り、または会社に損害を加えることを目的とする場合(847条1項但書き)。

→不法不当目的で担保請求ができるような事例であれば、訴権の濫用として却下される可能性があるが、一般論としては、担保提供の場合よりもより強い悪性が求められる(担保を積んでも訴訟を追行できない場合が、訴権の濫用事例なので)。もっとも、両者の区別は微妙である(裁判例も少ない)。

権利の濫用が認められた事例として、長崎地判平成3年2月19日判時1393号138頁がある。

   

 

 

 

(3)担保提供の金額

Q4

相当の担保の金額は、被告が将来、損害賠償請求訴訟を提起した場合に、認容されるであろう額(具体的には、被告の弁護士費用や慰謝料など)が主要な基準となる。

これに加え、提訴株主の悪意の態様なども考慮される。

 

 担保提供制度は、代表訴訟が不法行為を構成する場合に、被告取締役等が原告株主に対して有する損害賠償請求権を担保するものである。

 

 

設例10-3の解説は、以上です。

   

 

 

 

 

今回のテーマは、応用的な論点なので、詳しめの教科書および判例百選でしっかり復習しましょう!!

それでは、また次回!

 

 

設例10―4の解説はこちらです 

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