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会社法事例演習教材の解答例Ⅰ-11(設例11-1前半)監査役に関する諸問題

こんにちは、コポローです。

今日は会社法事例演習教材(第4版)Ⅰ-11(設例11-1前半)の解答例を紹介します。

テーマは、監査役に関する諸問題です。

やや細かいですが重要なテーマなので、しっかり勉強しましょう! 

   

 

 

 

(1)監査役と子会社取締役の兼任

Q1

監査役は子会社の取締役を兼任できない(335Ⅱ)。

子会社も監査の対象(子会社調査権)となるところ、兼任があると監査の実効性がなくなるおそれがあるからである。

   

 

 

 

Q2

AがP社の子会社の取締役でありながらP社の監査役に就任した場合、従前の地位(子会社取締役)を辞任したとみなされる(辞任の意思表示が擬制される)。その結果、法的には兼任状態は生じず、同人が子会社取締役の仕事を事実上継続していたとしても、監査役の任務懈怠になるに過ぎない(以上につき、最判平成元年9月19日判時1354号149頁)。

 

他方、本件設例のようにAがP社の監査役とQ社の取締役を兼任していたところQ社がP社の子会社となった場合、監査役の地位を辞任したとみなすことはできないし、監査役の地位が無効になるわけでもない。

しかし、兼任禁止の立場にある者が行った監査は違法な監査として、無効になる解されている(多数説)。

これに対して、少数説として、監査は有効であり、兼任により何か問題が生じた場合(実効的な監査ができなかった場合など)に、任務懈怠責任が生じるにすぎないとする見解もある。

   

 

 

 

 

(2)顧問弁護士と監査役の兼任・社外監査役の資格要件

Q3

監査役は使用人を兼任できない(335Ⅱ)ところ、これに違反しないかが問題となる。 

顧問弁護士が使用人的地位(会社から継続的に指揮命令を受けて職務に従事する地位)にあるかを実質的に考えるべきであるとされている。

顧問契約が締結されているだけで、使用人的(従属的・専属的)地位にはないのであれば、335条2項には反しない(大阪高判昭和61年10月24日金法1158号33頁参照)。

もっとも、当該企業からの報酬が大きいなど経済的な依存度が高ければ、監査役としての独立性が保てないため、335条2項との関係で、実質的に使用人と評価されうる。

 

なお、最高裁は、特定の訴訟について弁護士資格を有する監査役が会社から委任を受けて訴訟代理人になることまで335条2項は禁止しないと解する(最判昭和61年2月18日会社法判例百選第4版70事件・第3版74事件)。

   

 

 

 

Q4

監査役就任まで使用人であったAは、社外監査役ではない(2条16号イで10年以内に使用人であったことがある者は社外監査役に該当しない)。

そうすると、P社は社外監査役がBのみとなるので、監査役の半数以上が社外監査役でなかればならないとする335条3項に違反する(P社は大会社であるので監査役会設置会社である(328条1項))。 

違法に構成された監査役会で決議された監査報告は手続的瑕疵を帯び、違法・無効である。

※なお、監査役3名のうち1名の招集・出席を欠く場合において、監査役選任議案に係る監査役会の同意(343条1項・3項)を無効とした裁判例として、東京地判平成24年9月11日金判1404号52頁(会社法判例百選第3版A28事件(第4版では不掲載))がある。

 

 

設例11-1の前半の解説は、以上です。

   

 

 

 

 

今回のテーマは、応用的な論点なので、詳しめの教科書および判例百選でしっかり復習しましょう!!

それでは、また次回!

 

設例11-1後半の解説はこちら

kaishahou.hatenablog.jp