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会社法事例演習教材の解答例Ⅰ-11(設例11-1後半)監査役に関する諸問題

こんにちは、コポローです。

今日は会社法事例演習教材(第4版)Ⅰ-11(設例11-1後半)の解答例を紹介します。

テーマは、監査役に関する諸問題です。

細かいですが重要なテーマなので、しっかり勉強しましょう! 

量が多いので、前半と後半の2回に分けて解説します。今回は後半です。

   

 

 

 

前半の解説はこちらです↓ 

kaishahou.hatenablog.jp

 

 

(3)横すべり監査役 

Q5

会社法335条2項の兼任禁止は生じないが、監査役の監査報告は事業年度ごとに行うところ、自己が取締役であった期間について自己を含む取締役の職務執行を監査する「自己監査」の状態が生じ、適正・公正な監査がなされない危険がある。

 

ただ、立場を変えて事後監査することは不可能ではないこと・実情に通じ有効な監査ができる可能性もあることから、望ましくはないが違法とするまでのものではない(取締役であったものを監査役とするかは、株主総会の判断に委ねるべき)とするのが、多数説・裁判例(東京高判昭和61年6月26日判時1200号154頁)である。

これによれば、Dは4月から6月の部分についても適法に監査ができる。

   

 

 

 

 

(4)監査の瑕疵と計算書類の確定・剰余金の配当

Q6

P社は大会社かつ公開会社なので、監査役会および会計監査人を置かなければならない(328条1項)。 

本件では、定時株主総会での計算書類の承認(438条2項)はなく、定時株主総会での報告のみが行われた(439条(会計監査人設置会社の特則))。

ただし、それには、監査役会の監査報告の内容として、会計監査人の監査の方法又は結果が相当でないと認める意見がないことが要件となっている(会社計算規則135条)。

 

しかし、本件でA・C・Dの資格に問題があり、335条3項違反が生じているとすると、本件監査報告は違法に構成された監査役会において決議されたもので無効である(Q4の解説参照)から、上記の要件を満たさないことになる。

よって、会社法439条は適用できず、438条2項により株主総会の承認が必要になるが、本件では、株主総会の承認がないので、計算書類は確定していないことになる。

   

 

 

 

 

 Q7

計算書類が未確定となると、それに基づいて計算される剰余金の額(446条)、分配可能額(461条2項)も未確定となり、本件株主総会決議は内容の法令違反(461条1項違反)を理由に無効となる。

 

※剰余金は446条で最終事業年度の資産・負債の額等を基礎に定まる。最終事業年度とは、計算書類の承認(確定)を受けた事業年度のうちで最も遅いもの(2条24号)とされる。

よって、計算書類が確定していないと、剰余金さらには分配可能額が計算できない。

すなわち、計算書類の確定なしに計算された剰余金・分配可能額は、法律に違反した内容であるといえるため、それを基礎にした配当決議は決議内容の法令違反にあたる。

 

※平成17年改正前商法の下では、利益配当は計算書類の承認と同時に株主総会で行っており、計算書類の承認なしに利益配当をした場合は手続違反であり、取消原因にとどまるとする見解が有力であった。

しかし、会社法の下では、剰余金配当と計算書類の承認は手続的に別になった。そうした中、従来どおり取消原因にとどまるとする見解よりも、上記のように、決議内容の法令違反で無効事由になるとする 見解が有力になっている。

 

 

設例11-1の後半の解説は、以上です。

   

 

 

 

今回のテーマは、重要かつ難解な論点なので、詳しめの教科書・判例百選でしっかり復習しましょう!!

それでは、また次回!

 

設例11-2の解説はこちら 

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