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会社法事例演習教材の解答例Ⅰ-11(設例11-2前半)違法配当と役員等の責任

こんにちは、コポローです。

今日は会社法事例演習教材(第4版)Ⅰ-11(設例11-2前半)の解答例を紹介します。

テーマは、違法配当と役員等の責任です。

やや細かいですが重要なテーマなので、しっかり勉強しましょう! 

   

 

 

 

 

(1)分配可能額と剰余金配当

Q1

分配可能額は、次のような手順で計算する。

➀最終事業年度の末日における剰余金の額を計算する(446条1号)。

②➀の剰余金の額に最終事業年度末日以後の資本取引による剰余金の額の変動を加味する(446条2号から7号)。

③②の剰余金の額を基礎に、一定の調整をして、分配可能額を計算する(461条2項2号以下)。

 

まず、➀について、最終事業年度の末日における剰余金の額とは、同時点の貸借対照表上の「その他資本剰余金」と「その他利益剰余金」の合計額である(446条1号、計算規則149条)。

→本問の貸借対照表では、0円+900百万円=900百万円(9億円)である。

 

つぎに、②の変動は本問ではないとされている。

 

最後に、③について、純資産300万円の制限(461条2項6号)、自己株式の帳簿価額の控除(同項3号)等がありうるが、本問では、いずれもない。

 

よって、本問の貸借対照表によると、分配可能額は9億円である。

 

※田中亘『会社法(第3版)』447頁以下(特に図表5-9)が詳しく、比較的分かりやすい。

   

 

 

 

Q2

 粉飾により、その他利益剰余金は1億円が適正であったことから、Q1の解説の述べたように、分配可能額は、0円(その他資本剰余金)+1億円(その他利益剰余金)=1億円となる。 

   

 

 

 

 

(2)違法配当に関する役員等の会社に対する責任

Q3

本件剰余金の配当は、分配可能額を超えるものであるところ、BはP社に対し、株主が受領した金銭等の帳簿価額に相当する金銭を支払う責任を負う(462条1項柱書・2条15号(業務執行取締役)・363条1項1号 、462条1項6号イ462条1項1号イ、計算規則160条1号)。

※Bは、代表取締役として、会社を代表して剰余金を交付しているので、462条1項柱書の「当該行為に関する職務を行った業務執行者」に該当する。

※また、Bは本件剰余金配当議案を株主総会に提出したので462条1項6号イの総会議案提案取締役に該当する(計算規則160条1号)。

   

 

 

 

 

Q4

過失責任であるが、Bが無過失の立証責任を負う(462条2項)。

※商法では無過失責任だったものが、会社法で過失責任とされた。

本件では、Bは悪意ではないが、過失の有無は不明である。

粉飾が巧妙であった場合には、無過失であることもありえよう。

   

 

 

 

Q5

Bは5億円を支払うべきことになる。

旧商法前は、分配可能額である1億円を除いた4億円を支払うべきとする見解もあったが、会社法462条1項の文言および462条3項但し書きの規定ぶりからは、配当として支払った金額全額の支払い義務があると解さざるを得ない。

   

 

 

 

Q6

Aは462条1項柱書 「当該行為に関する職務を行った」といえるか疑問がある。会計担当者は計算書類を作るが、剰余金の配当は会計担当者の仕事とは必ずしもいえない。実際に担当していたかどうかによる。

 

Aは、462条1項6号イ・計算規則160条3号に基づき、P社にBと同様の金銭支払い義務を負う。なお、Aは悪意であり、無過失の立証は不可能である。

   

 

 

 

 

Q7

取締役Cは、462条1項6号イ・計算規則160条3号に基づき、P社にA・Bと同様の金銭支払い義務を負う。Cは無過失を立証すれば責任を免れられる(462条2項)。

   

 

 

 

 

Q8

462条の責任主体に監査役は含まれていない。

善管注意義務違反(会社330・民644)があれば、423条1項の責任を負う。

責任額がいくらであるかは問題であるが、支払った額が当然に損害になるわけではない。株主や取締役から返還された額は損害にならない。返還されない額が損害になると考えられる。

※423条の責任については、424条以下による責任の減免があり得る(462条3項対照)。

 

監査役の任務懈怠については、最近、重要な最高裁判例が出ていますので、勉強しましょう!

kaishahou.hatenablog.jp

 

 

設例11-1の前半の解説は、以上です。

   

 

 

 

 

今回のテーマは、応用的な論点なので、詳しめの教科書でしっかり復習しましょう!!

それでは、また次回!

 

設例11-2後半の解説はこちら

kaishahou.hatenablog.jp