司法試験・予備試験・ロー入試に向けた会社法

司法試験上位合格者が会社法についてわかりやすく解説します

会社法事例演習教材の解答例Ⅰ-11(設例11-2後半)違法配当と役員等の責任

こんにちは、コポローです。

今日は会社法事例演習教材(第4版)Ⅰ-11(設例11-2後半)の解答例を紹介します。

テーマは、違法配当と役員等の責任です。

細かいですが重要なテーマなので、しっかり勉強しましょう! 

量が多いので、前半と後半の2回に分けて解説します。今回は後半です。

   

 

 

 

前半の解説はこちらです↓ 

kaishahou.hatenablog.jp

   

 

 

 

Q9

会計監査人も、462条の責任主体ではない。

しかし、会計監査人と会社の関係は 委任関係(会社330条)であり、善管注意義務違反(民法644)があれば、任務懈怠責任を負う(会社423条1項)。

会計監査人は会計の専門家であるので、会計に関しては他の役員よりも高度の注意義務を負う。

なお、会計監査人は会社外の者であり、会社が違法行為をしたことについて、外部者に会社に対する責任を全面的に負わせることには問題がある。そこで会計監査人の場合は、過失相殺が認められると解される(民418)。このように解しても、430条には反しないと解され、 裁判例にも過失相殺を認めるものがある。

   

 

 

 

462条に基づく責任間、および423条1項に基づく責任間では、それぞれ連帯責任となっている(462条柱書、430条)。

462条と423条との間については、明文規定はないが、そもそも、462条の責任は損害賠償責任ではなく法定の特別な支払責任であり、423条の損害賠償責任とは連帯責任の関係にはならない。(430条は損害賠償責任についての規定であり462条には適用がない。)

※462条の責任を履行すれば、その限度で損害が填補され、423条の責任が(一部)消滅することはある。

   

 

 

 

(4)違法配当に関する役員等の第三者に対する責任

Q10

会計担当の業務執行取締役である Aは、計算書類の虚偽記載としたといえるので、429条2項1号ロにより、第三者に対し損害賠償責任を負う。

※429条2項が使えるときは、1項よりも、そちらを優先したほうが良い(立証責任の転換された過失責任であるため)。Aは、故意で虚偽の計算書類を作っており、無過失の抗弁はできない。

 

会計についての業務を執行していないCは、悪意または重過失による任務懈怠(監視義務違反)があるとき、429条1項に基づき損害賠償責任を負う。

 

Bの適用条文は微妙。435条2項は会社が計算書類を作成するとしており、通常、代表取締役が会社を代表して作ることから、BもAと共同して計算書類を作ったといいうる(429条2項1号ロ)。Aだけが作ったのか、Bも共同して作ったのは設問から明らかでない。

Aだけが虚偽の計算書類を作ったと評価されるとき、Bは429条1項により責任を負いうる。

Bも虚偽の計算書類を作ったと評価できるとき、Bは429条2項1号ロにより、損害賠償責任を負う。ただBは無過失の抗弁を主張・立証しうる。

   

 

 

 

 Q11

監査報告において会計監査人監査の結果が相当でないことを記載すべきなのに記載しなかったこと(計算規則127条2項、128条2項)は、監査報告の重要事項についての虚偽記載に当たる(429条2項3号)。

よって、D・E・Fは無過失の立証に成功しない限り、Iに対して損害賠償責任を負う。

 

また、悪意または重過失による任務懈怠(監視義務違反)がある場合、429条1項に基づく損害賠償責任も負う。

   

 

 

Q12

会計監査報告において計算書類の不適正を指摘していないことは、会計監査報告の重要な事項についての虚偽記載にあたる(会社計算規則126条1項2号、会社法429条2項4号)。

よって、GはIに対して、無過失の立証に成功しない限り、損害賠償責任を負う。

 

なお、Iは会計監査報告を見ていないが、会計監査報告の内容を反映した監査報告を見ているので、Gの虚偽記載とIの損害との間には相当因果関係が存在する。

よって、Iが会計監査報告を見ていなくても、Gの責任を認めることは可能である。

 

Q10~Q12の第三者に対する損害賠償責任は連帯責任である(会社法430条)。

 

 

設例11-2の後半の解説は、以上です。


 

 

 

 

 

 

今回のテーマは、重要かつ難解な論点なので、詳しめの教科書でしっかり復習しましょう!!

それでは、また次回!

 

設例11-3の解説はこちら

kaishahou.hatenablog.jp

 

 

 

 

 

その他おすすめ記事です

kaishahou.hatenablog.jp

kaishahou.hatenablog.jp