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会社法事例演習教材の解答例Ⅰ-11(設例11-3)監査役・会計監査人に関する諸問題

こんにちは、コポローです。

今日は会社法事例演習教材(第4版)Ⅰ-11(設例11-3)の解答例を紹介します。

テーマは、監査役・会計監査人に関する諸問題です。

やや細かいテーマですが、しっかり勉強しましょう! 

   

 

 

 

 

 

(1)取締役と監査役の任期

Q1

公開会社の 取締役の任期は2年(正確には、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結時まで)だが、定款や株主総会決議で短縮することが可能である(332条1項)。

ただし、指名委員会等設置会社では、取締役の任期は1年である(332条3項)。

 

※本問では、監査役がいるから、指名委員会等設置会社ではない。

   

 

 

Q2

 公開会社の監査役の任期は4年で短縮はできない(336条1項)。

身分の独立性・安定性確保のため4年となっている(任期が短いと再任してもらうために取締役に嫌われないように実効的でない監査をするおそれがある)。

   

 

 

 

任期を10年まで伸ばすという定めを置くことができる(332条2項、336条2項)。

公開会社では、株主が変動し、かつ株主総会の権限が制約されるから、2年ごとに取締役につき、信認を問う必要があるが、非公開会社では、所有と経営が一致していることが多いので、頻繁に株主の信認を問う必要がないから。

閉鎖的な会社では、同じものがずっと役員をしていることがある(決議や登記を繰り返し行うのは無駄なため)。

※有限会社では、そもそも任期がなかったことも考慮された。

   

 

 

 

 

Q3

 有効(332条1項但し書き)。

   

 

 

Q4

監査役に任期を2年とする定款変更決議は無効である。決議内容の法令違反になるため(336条1項違反)。 

監査役の独立性担保のため、短縮は許されないと解されている。

 

※Q3とQ4について、両方をセットにすることに意味がある決議の場合、両方とも無効になりうる。

   

 

 

 

(2)付属明細書の備置懈怠

Q5

招集手続の法令違反(442条1項1号(本店)、442条2項1号(支店))として、決議取消事由になる(831条1項1号)。福岡高裁宮崎支部判平成13年3月2日判タ1093号197頁参照。

※付属明細書は、取締役会設置会社において、株主総会の2週間前から5年間の備え置き義務がある。 

 

※裁量棄却(831条2項)がありうるか?

計算書類は総会通知に添付される(437)が、付属明細書は添付されない。よって備え置きがなければ、株主は知り得ず、軽微な瑕疵とは言えない可能性がある。

   

 

 

 

(3)監査役の報酬

Q6

 387条1項2項の趣旨は、監査役の適正な報酬を確保し、監査役の取締役からの独立性を確保すること(具体的な配分を定めない場合、監査役の協議で定めることになる。387条2項)である。※361条の趣旨である「お手盛り防止」とは異なる。

よって、取締役会に配分を一任する株主総会決議は、その趣旨に違反し、決議内容の法令違反(387条1項2項違反)として、無効である。

 

無効の範囲については、➀値上げ部分も無効とする考え方と、②配分の一任だけ無効で、387条2項が適用されるという考え方がある。株主の意思としての増額は尊重すべきであり、値上げ部分まで無効にする必要はないことから、②が合理的であろう。

   

 

 

 

(4)会計監査人の選任手続

Q7

平成26年会社法改正前:取締役が会計監査人選任について一定の行為を行うことについての同意(旧344条1項・3項)。

取締役に対し、会計監査人の選任について、一定の行為を行うことを請求(旧344条2項・3項)。

 

平成26年会社法改正後:監査役監査役会設置会社においては監査役会)が、会計監査人の選任・解任・不再任の議案の内容について決定する(344条)。

344条の趣旨は、会計監査を受ける取締役が、会計監査人を実質的に決定する(株主総会の議案を決定する)と、会計監査人の独立性を害するおそれがあることから、それを防止することにある。

   

 

 

 

会計監査人の報酬は、会計監査人と会社との間の契約で定められるが、報酬等の決定には監査役監査役会の同意が必要である(399条1項・2項)。

低い報酬額が定められると、実効的な会計監査ができなくなるおそれがあるためである。

なお、選解任とは異なり、監査役が決定権を有するわけではなく、あくまで同意権にとどまる。これは、会計監査人の報酬の決定が財務に関する経営判断事項といえるためである。

   

 

 

 

Q8

Aを候補者とすることには瑕疵がない。

しかし、取締役がBを候補者とする議案を提出するには、監査役会の決定が必要(34

4条1項、3項)なところ、同意なしに議案を提出したことは決議方法の法令違反として、 決議取消事由となる(831条1項1号)。

   

 

 

 

 

少数株主が会計監査人の選任に関する議案を株主総会に提出することについては監査役の同意は不要(344条1項1項、3項の文言)。

よって、本件決議には瑕疵がなく、有効である。

 

※334条は会計監査人の取締役からの独立性確保のための規定であり、(少数)株主からの独立性確保のための規定ではない。

  

設例11-3の解説は、以上です。 

 

 

 

 

 

今回のテーマは、応用的な論点なので、詳しめの教科書でしっかり復習しましょう!!

それでは、また次回!

 

設例12-1の解説はこちら

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