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会社法事例演習教材の解答例Ⅱ-1(設例1-2)株式の払込金額の不均衡

こんにちは、コポローです。

今回は、会社法事例演習教材(第4版)Ⅱ-1(設例1-2)の解答例を紹介します。

テーマは、株式の払込金額の不均衡です。

やや細かいテーマですが、重要なテーマなので、しっかり勉強しましょう! 

   

 

 

 

 

Q1

本件新株発行には、(T社への発行について)有利発行に該当するという問題(Q2・Q3)、発行可能株式総数を超えるという問題(Q4・Q5)、 募集事項の均等(199条5項)に反し引受人間の平等を害するという問題(Q6)がある。

 

Q2

 公開会社は通常は新株発行を取締役会決議によって行うことができる(201条)が、

 有利発行の場合は、株主総会の特別決議が必要になる(201条1項、199条3項・2項、309条2項5号)。

その際、株主総会において、有利発行の必要性を説明しなければならない(199条3項)。

 

 Q3

非公開会社では、株主割当てによる場合でない限り、有利発行かどうかにかかわらず、新株発行には株主総会の特別決議が必要になる(199条2項・309条2項5号)。

有利発行の場合は、有利発行の必要性を説明しなければならない(199条3項)。 

 

Q4

 発行可能株式総数を増加させる定款変更を行えばよい(466条、309条2項11号)。

非公開会社では、4倍規制はなく(113条3項)、定款変更で授権枠を拡大した後に、新株発行を行えばよい。

 

 ⇒

 重大な法令・定款違反に該当し、新株発行の無効事由となる。

 

Q5

 公開会社では、いわゆる4倍規制(113条3項)が適用されるため、当該規制に対処する必要がある。その方法としては、次の2つがある。

第1の方法は、1度に10万株を発行するのではなく、2回に分けて発行するという方法である。たとえば、まず2万株を発行して、つぎに定款変更で授権枠を拡大(発行可能株式総数を12万株に増加)してから、残りの8万株を発行すればよい。

第2の方法は、 非公開会社になる(株式全部に譲渡制限を付ける定款変更を行う)ことである。この場合の株主総会決議は、309条3項1号により特殊決議になる。

 

上記第1の方法を 一度の株主総会で行うこともできる。

具体的には、まず、有利発行であるT社への新株発行決議が必要なのは確実であるから、それに合わせて、Tへの新株発行を条件に、発行可能株式総数を12万株にする定款変更決議をおこなえばよい。

そして、残りの8万株分は有利発行ではないから、公開会社においては取締役会決議によって発行すればよい。こうすれば、株主総会は1度だけで済む。

 

※参考判例最判昭和37年3月8日民集16巻3号473頁会社法判例百選第4版A12事件)によれば、募集株式の発行がなされることを条件として、それを加えた発行済株式総数の4倍まで発行可能株式総数を増加させる定款変更決議は有効である

 

Q6

会社法199条5項は、「募集ごと」の均等を要求しているにすぎない(別個の新株発行間での均等・平等は問題とならない)。

 別個の募集に当たるかどうかは解釈問題であるが、通常、別個の決議で募集事項が決定されているのであれば、別個の募集と解してよい。

 T社への発行は有利発行規制 二基づくの厳格な手続を経ており、引受人間の実質的平等が害されたとも言えない。

 

 

設例1-2の解説は、以上です。

今回のテーマは、重要かつ難解な論点なので、詳しめの教科書でしっかり復習しましょう!!

それでは、また次回!

 

設例1-3の解答例はこちらです。

kaishahou.hatenablog.jp

 

   

 

 

 

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