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会社法事例演習教材の解答例Ⅱ-2(設例2-1前半)種類株式の設計と株式分割

こんにちは、コポローです。

今回は、会社法事例演習教材(第4版)Ⅱ-2(設例2-1前半)の解答例を紹介します。

テーマは、種類株式の設計と株式分割です。

細かい点もありますが重要なテーマなので、しっかり勉強しましょう! 

今回は、長いので、前半と後半の2回に分けて解説します。 

 

 

 

 

(1)社債優先株式の設計と種類株主間の利害調整

Q1

社債のように毎年一定額の配当が支払われるようにするには、非参加的・累積的な優先株式とすればよい(108条1項1号・2項1号) 

非参加的とは、所定の優先配当金の支払いを受けた後に、普通株主とともに配当を受けとることができないというもの。

累積的とは、ある事業年度に定められた優先分配金が支払われないときに不足分を翌事業年度以降の分配可能額から優先的に支払いを受けられるというもの。

 

機動的な発行ができるように、定款では具体的な金額を定める必要はなく、優先配当金の上限などの内容の要綱だけを定めておけばよい。具体的な優先配当金額は、優先株式

を発行するときに株主総会または取締役会の発行決議で定めればよい(会社法108条3項・会社法施行規則20条1項1号参照)。

なお、配当財産の種類は定款で定めることが必要。

 

 

Q2

ここでは、優先株式にどれだけの価値があるかが問題である(普通株式の価値とは関係がない)。

 

社債型の株式の価値は、そのときどきの金利と優先配当金額との関係で決まってくる。たとえば、市中金利が3%のとき、優先配当金額が3円であれば、社債優先株式の価値は100円に近くなる(3円÷3%)。

もっとも、優先株式では配当が支払われる確実性が社債の利子よりも低いので、その分だけ、価値は低くなる。

 

社債優先株式は、その価値に等しい額で発行されていれば、普通株式の価値に関わらず、 有利発行の問題は生じない。

なお、優先配当金額が3万円で金利が3%のとき、優先株式の価値は100万円に近くなるから、100万円での発行は有利発行ではない。

 

115条により、公開会社では、議決権制限株式は発行済株式総数の2分の1以下でなけれなればならない。

本問では、数の上では、同条に違反しないが、出資額の上では、無議決権株式が圧倒的に多いので、実質的に115条に反しないかが問題となる。

115条の趣旨は少額の出資で会社を支配することに歯止めをかけることであり、本問のような場合には、まさに問題が生じる。

よって、学説の中には、優先株式の払込金額は普通株式の株価と大きく違わないようにすべきである(金利との関係で優先配当金額調整すればよく、そうすべきである)との見解もある。


 

 

 

 

Q3

 残余財産の分配について内容の異なる定めをしておけばよい(108条1項2号)。これにより、払込金額と累積配当金については、残余財産分配における優先権を与えることが多い。

※もっとも、残余財産分配請求権は実益が乏しい。普通、業績が好調な企業は解散しないし、業績不振の企業では、債務超過であることが多く、残余財産がないので、優先権があっても無意味である。

 

議決権については、社債型にするには、完全無議決権株式にすることが考えられる(108条1項3号)

 

 

Q4

 取得条項付種類株式について(2条19号、108条1項6号)、例えば、取締役会決議で払込金額の110%の価額で金銭をもって会社が買い付ける旨を定めておけばよい。取得日の決め方については、108条2項6号・107条2項3号ロ・168条を参照。

 

 会社のメリット:低金利になって、優先配当金額による配当が会社にとって負担であると感じられるようになった場合、取得条項に基づき、会社が強制的に優先株式を償還する(買い取る)ことができる。

   

 

 

 

 

Q5

 できる。

 ただ、株式分割優先株式が増加すると、優先配当金の総額が増え、普通株主に不利益が生じることになるため、普通株主について種類株主総会の特別決議が必要(322条1項2号、324条2項4号)。

 

⇒1

定款で普通株式の内容として、種類株主総会決議を不要とすること(322条2項)を定めることができる。すでにある普通株式についてこの定めを置くには普通株主全員の同意が必要(322条4項)。

 

⇒2

優先株式を分割によって増やすことは、後から社債の利息を増やすようなもので、普通株主に一方的に不利であり、普通株主が賛成するとは考えにくい。

従って、理論的には可能だが、現実的には困難である。そこで、現実にはQ6のように普通株式だけ株式分割で増やすことを考える。 

 

設例2-1前半の解説は、以上です。

今回のテーマは、難解な論点なので、詳しめの教科書でしっかり復習しましょう!!

それでは、また次回!

   

 

 

 

 

後半の解説はこちらです

 

kaishahou.hatenablog.jp

 


 

 

 

 

 

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