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会社法事例演習教材の解答例Ⅱ-2(設例2-1後半)種類株式の設計と株式分割・合併

こんにちは、コポローです。

今回は、会社法事例演習教材(第3版)Ⅱ-2(設例2-1後半)の解答例を紹介します。

テーマは、種類株式の設計と株式分割・合併です。

細かい点もありますが重要なテーマなので、しっかり勉強しましょう! 

今回は、長いので、前半と後半の2回に分けて解説しています。今回は後半です。

 

前半の解説はこちら↓

kaishahou.hatenablog.jp

 

 

Q6

まず、優先株主に損害が生ずるかを 検討する。

①自益権については、非参加型の優先株式なので、普通株式が増えても、損害を被らない(優先配当金額に何ら影響がないので)。

②共益権のうち、議決権についても、完全無議決権株式なので、普通株式が増えても、影響がない

③共益権のうち、行使要件として議決権を基準とする少数株主権(303条2項の株主提案権、306条1項の総会検査役選任請求権、297条1項の株主総会招集権など)についても、無議決権株式を有する株主はもともと行使できないので、影響がない。

④共益権のうち、行使要件として持株比率を基準とする少数株主権(433条1項の帳簿等閲覧請求権、854条の取締役等の解任請求権)は、完全無議決権株式を有する株主も行使することができ、普通株式が増えると、いままで行使できたものが行使できなくなるという不利益を生じうる。

よって、優先株式に損害が生ずるおそれがあるので、種類株主総会の特別決議が必要(322条1項2号、324条2項4号)

 

322条1項により、優先株式の内容として、種類株主総会を不要とする旨を定める。その代わり、会社法116条1項3号イは優先株主に株式買取請求権を与えて救済している(損害を受けるおそれがあることが要件)。

 

もっとも、定款であらかじめ優先株式の権利内容の定め(※これは108条2項1号の定めではない)として、普通株式を分割しても、優先株式を分割しないとの定めを置くこともできる。明文規定はないが、このような定めができることは一般に認められている(江頭憲治郎・株式会社法第7版141頁(注11も参照))※会社法制定前から実務はこのようにしていた。優先株式の株主は、これを承知で、株式を取得しているので、その期待を害することはないと考えられている。この場合には、種類株主総会の決議は不要であるし、株式買取請求権も生じない。

 

 

(2)普通株優先株式の設計と種類株主間の利害調整

Q7

参加的優先株式にしておけばよい(この場合、優先株式の株価は普通株式の株価と連動する)。

たとえば、「優先配当額を1円とし、つぎに普通株式に1円だけ配当し、その後、普通株式優先株式に平等に配当を支払う」という参加の形にすると、ケース(2)のニーズに最も適合的となる。

※アンダーラインの部分がポイントであり、こうしないと、業績のいいときでも、常に優先株式の方が1円多く配当をもらえることになり、ケース(2)のニーズに合わない。

 

 

Q8

普通株型では、優先株式の株価は普通株式と同程度になる(払込金額は普通株式の価値を踏まえて、決定しなければらなない)。したがて、本問における300円の発行では、有利発行となってしまう。 

 

Q9

分割比率の低い方の株主に損害が生じるので、当該株主の種類株主総会の特別決議が必要(322条1項2号、324条2項4号)。

なお、優先株式を分割すれば、優先枠が増えるので、分割比率にかかわらず普通株式の種類株主総会特別決議が必要。

 

分割比率同じときでも、前述のとおり、優先株式の分割により優先配当金額の総額が増加するので、普通株主に損害が生じるおそれがある。よって、普通株主の種類株主総会の特別決議が必要(322条1項2号、324条2項4号)。

 

種類株主総会の特別決議を経ることは煩雑なので、実務では①322条2項の定めを置くこと(322条4項も参照)、または、②あらかじめ普通株主の内容として、「優先株式普通株式は同じ割合で株式分割を行うとする」などと定めて、普通株主の期待を害さない状態を作っておくことが行われる。

 

 

設例2-1後半の解説は、以上です。

今回のテーマは、難解な論点なので、詳しめの教科書でしっかり復習しましょう!!

それでは、また次回!

 

 

 

 

 

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