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会社法事例演習教材の解答例Ⅱ-3(設例3-2)新株予約権の譲渡

こんにちは、コポローです。

今回は、会社法事例演習教材(第4版)Ⅱ-3(設例3-2)の解答例を紹介します。

テーマは、新株予約権の譲渡です。

重要なテーマなので、しっかり勉強しましょう! 

 

 

 

 

 

 

 

(1)ストックオプションの付与における異なる行使期間の定め

Q1

使用人に対するストックオプションの発行においては、報酬規制(361条)がかからないので、新株予約権の発行手続のみでよい。

ここでは、取締役の場合(設例3-1(1)参照)と同じように、対価として労務提供があるため、有利発行にはならない。

よって、公開会社では、取締役会決議で発行できる(240条1項)。

   

 

 

Q2

発行条件の均等を要求する238条5項に違反しないかが問題となる。

会社法制定前は、株主総会の特別決議を経れば、発行条件を均等にしなくてよいとの規定があったが、会社法では削除された。)

もっとも、行使期間の異なる新株予約権はそれぞれ別個の新株予約権と考えることができ、238条は募集ごとに均等であればよいと定めているだけであり、別個の新株予約権の発行について同項は問題とならない。

 

※このような解釈は、新株発行の場合(199条5項)と同じである(設例1-2のQ6参照)

 

 

(2)譲渡制限の設定等

Q3

発行決議で新株予約権の内容として、譲渡制限を設けることができる(236条1項6号、238条1項1号)。

会社は発行決議ごとに、譲渡制限の有無を決定することができる(たとえば、資金調達目的のときは譲渡制限を付けず(譲渡制限があると金融商品としての魅力が乏しくなるので)、ストックオプションとして発行するときは譲渡制限を付けるなど)。

 

新株予約権は用途が多様であるところ、発行ごとに譲渡制限の有無を決定できて便利(株式と異なる点の一つである)。

   

 

 

 

 株式と異なり定款で譲渡制限の有無を定めなくてよいのは、新株予約権に譲渡制限があっても、行使して株式にしてから株式譲渡することで投下資本を回収することができるので、株式の譲渡制限ほどに、株主や新株予約権者に重大な影響を与えないから。

※一般に、定款とは、株主の利益に重大な影響が生じることについて定めるものである。

 

 

Q4

「同一部門の従業員以外の者に譲渡する際に、会社の承認を要する」というような譲渡制限を付ければよい。

これは、譲渡制限がかかる範囲を狭くしているだけであり、236条1項6号を根拠に行うことができる。

 

※株式については、明文の規定がある。すなわち、107条2項1号ロの譲渡制限株式の内容として定めることができる。

例えば、すでに株主である者に対する譲渡は、承認したものとみなすという、「みなし承諾」条項を定めることが考えられる。

新株予約権の譲渡制限にはこのような明文規定はないが、解釈によってこのような譲渡制限を禁じる理由はない(承認が必要となる場面を狭くしているだけなので)。

   

 

 

 

 

Q5

以下の2つの方法がある。

①その部門に属していることを行使の条件とすればよい。明文規定はないが、行使に条件を付けることはできると解されている。

②移動・退職の場合を取得事由とする取得条項を定めておけばよい(236条1項7号イ)。これにより、当該新株予約権は、取得条項付き新株予約権となる(273条1項)。

   

 

 

(3)株式との比較

Q6

株式の場合は、140条で株式買取請求をすることができる。会社が譲渡を承認しなければ、会社または指定買取人が買い取る。

これに対し、新株予約権では、これに相当する規定がなく、会社は承認しなくても、自ら買い取ったり、指定買取人を指名する必要がない。

この結果、会社が承認しなければ、(会社との関係では)有効に譲渡することができない。この点で、株式の場合よりも、譲渡制限が強力である。

 

その理由は、2つある。

新株予約権の用途によっては誰に譲渡されようが、会社が困る場合がある。典型例はストックオプションである(役員や従業員に保有・行使してもらわないと、インセンティブ報酬としての意義がなくなる)。このため、強力な譲渡制限を認める必要性がある。

②前述(Q3⇒参照)のように、新株予約権を行使して、株式にしてから、株式を譲渡すればよいから、強力な譲渡制限を認めても、新株予約権者の不利益は限定的である。

   

 

 

 

設例3-2の解説は、以上です。

今回のテーマは、重要かつ難解な論点なので、詳しめの教科書でしっかり復習しましょう!!

それでは、また次回!

 

 

   

 

 

 

設例4-1の解説はこちらです↓↓

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