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会社法事例演習教材の解答例Ⅱ-4(設例4-4)株式分割等と発行可能株式総数の関係

こんにちは、コポローです。

今回は、会社法事例演習教材(第4版)Ⅱ-4(設例4-4)の解答例を紹介します。

テーマは、株式分割等と発行可能株式総数の関係です。

細かい点もありますが重要なテーマなので、しっかり勉強しましょう! 

   

 

 

 

(1)株式分割と発行可能株式総数

Q1

発行可能株式総数は定款記載事項であり、原則として株主総会の特別決議により定款変更(466条)をすることで、増減することができる。

ただし、 株式分割により発行済株式が増える場合には、取締役会決議により定款変更をして分割比率の範囲内で授権枠(発行可能株式総数)を拡大してもよい(184条2項)ので、一般にそのようにして発行可能株式総数を増加させる定款変更が行われる。

 

本件では、1株を2株にする株式分割が行われるので、発行可能株式総数を40万株から80万株に増加させることができる。

発行済株式総数は20万株から40万株に増加する。

したがって、取締役会はあと40万株を発行することができる。

   

 

 

 

Q2

可能である。184条2項は「範囲内で」と規定している。

発行可能株式総数(授権枠)の拡大を全くしないことも可能である。

 

(2)株式の償却・併合と発行可能株式総数

Q3

会社法の下では、株式が消却されても授権枠に影響がないとする見解が通説である。

発行可能株式総数は定款で定められ(37条1項・98条)定款変更には株主総会の特別決議が必要なところ(466条)、株主総会の決議なしに定款変更ができる例外的な場合についても逐一明文規定がある(184条2項等)。

また、法律によって定款変更があったとみなす規定もある(112条1項)。

つまり、会社法上、定款は株主総会の特別決議によるか、明文で認められた場合以外には変更されないと考えられる。

そして、株式消却については、株主総会の特別決議によらずに定款変更がされるという規定はない。

よって、株式の消却があっても、定款は変更されず、発行可能株式総数はそのままであると考えられる。

 

本件では、12万株の消却により、その分だけ、発行可能済株式総数と発行可能株式総数の差が大きくなり、取締役会はあと32万株発行することができる。

   

 

 

Q4

会社法制定前の通説は、株式消却しても授権枠が減らなければ取締役会が償却と発行を繰り返すことができ、取締役会に無限の新株発行権限を与えているともいえるので、授権資本制度の趣旨に反するとしていた。

しかし、平成13年商法改正以後は、取得した自己株式を消却しないで保有しておくことも認められるようになった(いわゆる金庫株解禁)。

そして、自己株式の処分も認められるようになり、取得と処分を繰り返すことができるようになった。

これは、消却と新株発行の繰り返しと実質的に同じであり、前者は可能だが、後者は不可能であるとは言いにくくなった。

 

また、授権枠の4倍規制(37条3項・113条3項)との関係も問題だが、その意義は、既存株主の持株比率低下の下限を設定することであると解すれば、自己株式の取得に既存株主が自ら応じない限り、取得・消却・再発行を繰り返されても、既存株主の持ち株比率は低下しないので、授権資本制度の趣旨に反しない。

   

 

 

Q5

平成26年会社法改正前は、株式併合の場合も、株式の消却の場合と同様に、発行可能株式総数に関する定款変更規定がなかったため、定款変更はなく、発行株式総数はそのままであった。

本件だと発行可能株式総数は40万株のままであり、発行済株式総数が8万株となるため、32万株に授権枠が増える。

そのため、株式併合により、既存株主が強制的に持株比率の下限を低下させられることになり、授権資本制度の趣旨(Q4の解説参照)に反するという問題があった。

 

そこで、平成26会社法改正により、発行可能株式総数の4倍規制を株式併合の場面にも及ぼすことにした(180条3項)。

このため、本件では、株式併合効力発生後の発行済株式総数8万株の4倍以下、すなわち32万株以下となるように発行可能株式総数を定めなけばならない(180条3項・180条2項4号)。

 

Q6

前述したように、株式の消却の場合は、既存株主が自己株式の取得に自ら応じない限り、取得・消却・再発行を繰り返されても、既存株主の持ち株比率は低下しないので、4倍規制の趣旨に反しないが、株式併合では多数決によって強制的に行われるので、発行可能株式総数も減少されないと、持株比率低下の下限としての4倍規制が潜脱されてしまうから。

 

設例4-4の解説は、以上です。

今回のテーマも、難解な論点なので、詳しめの教科書でしっかり復習しましょう!!

それでは、また次回!

 

 

 

 

 

 

 

設例5-1の解説はこちらです↓↓

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