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会社法事例演習教材の解答例Ⅱ-6(設例6-3)株主総会の議長

こんにちは、コポローです。

今回は、会社法事例演習教材(第4版)Ⅱ-6(設例6-3)の解答例を紹介します。

テーマは、株主総会の議長です。

細かい点もありますが重要なテーマなので、しっかり勉強しましょう! 

   

 

 

(1)特別利害関係人が議長となる場合

Q1

議長は、議事の運営に当たるだけなので、議案に特別利害関係を持つから必ずしも不公正な議事運営をするとは限らないので、議長を務めることが禁止されるわけではない。

現実に、不公正な議事運営が行われた場合に、831条1項1号の決議方法の著しい不公正として、決議取消事由になる。 

   

 

 

 

 

(2)議長の資格等

Q2

 考え方が分かれる問題である。

(α)一つの考え方として、本件では、Aの不信任決議がされたところ、定款の定めにもかかわらずFが議長に選出されたとみることができる。

なお、不信任とされたことも事故に含まれる(事故には、物理的に出席できない場合のほか、不信任決議の成立や任意に欠席する場合も含むと一般に解されている)。

よって、本来はBが議長になるべきところをFが議長を務めたという瑕疵があり、決議の方法の定款違反で決議取消事由になる(831条1項1号)と考えることができる。

 

(β)もうひとつの考え方として、わざわざ株主総会でFを議長とする決議をしたのだから、その決議は、Bを含め定款に基づき指名される全員を不信任とする趣旨であると考えることができる。

つまり、定款に定める全ての者に事故があったとして、定款で定める議長がいなくなる結果、株主総会で自由に選出してよい。

よって、Fを議長とすることも適法である。

 

(γ)江頭説

定款で定めるのは、単に選任の手間を省いただけであり、定款の記載に拘束性はないので、総会で別の者を選任してもよいとする考え方もある。

もっとも、定款であえて定めているのに、それを普通決議で安易に覆してよいのかという理論的な疑問はある。

   

 

 

 

議長についての定款の定めは、通常の株主総会を念頭において者で、少数株主が招集した株主総会(297条4項)では、定款の規定は適用されず、総会の場で議長が選出されると考えるのが合理的である(定款に記載がない場合は総会の場で選出することになる)。

 総会の場で、選出する場合、多数派株主の賛成によって社長が議長に選出されることもあろうが、それはやむを得ない。

※議長選出のための会議では、招集者である少数株主が議長を務めるべきであろう。

   

 

 

 

Q3

多数説(議長資格者は総会出席者に限定する見解※下記旧Q4の解答例参照)によっても、監査役株主総会への出席資格を有する(取締役や監査役は説明義務があるため出席義務があると解されている(314条参照))ので、議長となることができる。

 

 

※第3版までのQ4「株主でない者を議長とすることができるか?」の解答例

議長は議事運営を主宰するだけであり、株主である必要はないという考え方もある(弁護士等などでもよい)。

しかし、多数説は、会議体の一般原則からして、議長は会議体の構成員(出席資格者)の中から選ばなければならないと考える。

   

 

 

※第3版までのQ6「議長による越権的閉会宣言はどのような効力を有するか?」の解答例

総会の定足数が満たされれば、議事に入らなくてはいけない。このように、審議ができるのに、閉会を宣言するのは、議長の権限濫用である。

議長が閉会を宣言しても、その宣言は無効であり、残った株主で審議を継続することはできる。

 

※第3版までのQ7「越権的閉会宣言後に、残った株主だけでG(役員等ではない、ただの株主)を議長として行った決議に瑕疵はあるか?」の解答例

瑕疵があるとすれば、①議長がGである点、②退席した株主がいる場合、③取締役がいない点である。

①については、全員の取締役が退出しているので、すべての取締役に事故があったとして、定款の定めの前提がなくなっており、定款に定めがないときの原則に戻って、株主総会で議長を選出できる。よって、①の点は問題ない。

 

②については、閉会宣言を有効と考えて帰った株主がいる場合、決議取消事由(決議方法の著しい不公正)にあたるかが問題となる。

議長の閉会宣言について権限濫用であることが明らかなとき、退席した株主は軽率であったと言わざるを得ない。

このような場合に、残りの株主で決議をしても、決議方法の「著しい」不公正があったとはいえないであろう。

本件では、定足数充足が確認されているのに、議長が不信任動議に憤慨して閉会宣言をしたのは、明らかに権限濫用であるといえる。

よって、多数の株主が退席して定足数が割れた場合は別として、残った株主で決議を行っても、②の点で問題はないだろう。

 

③について、まったく取締役がいないのは異常事態ではあるが、他に瑕疵がなければ決議は有効であると考えるべきである。

さもなければ、少数派が招集した株主総会について、取締役が全員欠席すれば、およそ有効な決議ができなくなってしまい、妥当でないから。取締役がいないことそれ自体は決議取消事由にはならないというべきである。

 

 

設例6-3の解説は、以上です。

今回のテーマも、難解な論点なので、詳しめの教科書等でしっかり復習しましょう!!

それでは、また次回!

   

 

 

 

 

 

 

設例6-4の解説はこちらです

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