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会社法事例演習教材の解答例Ⅱ-6(設例6-4)議決権の代理行使

こんにちは、コポローです。

今回は、会社法事例演習教材(第4版)Ⅱ-6(設例6-4)の解答例を紹介します。

テーマは、議決権の代理行使です。

細かい点もありますが重要なテーマなので、しっかり勉強しましょう! 

   

 

 

(1)議決権行使の代理人資格の制限

Q1

会社法310条1項が議決権の代理行使を強行法的に認めているため、代理人資格の制限が有効かどうか問題となる。

判例最判昭和43年11月1日会社法判例百選第4版29事件・第3版32事件)および多数説は、議決権行使の代理人資格を株主に限定する旨の定款規定を原則として有効であると解している。

その理由として、そのような定款の定めは株主総会の攪乱防止のための合理的な理由による相当程度の制限であるとしている。

 

例外として、Q2で出てくる株主である地方公共団体・法人の職員・従業員が代理人となる場合や、入院中の株主や高齢の株主の親族が代理人となる場合(大阪高判昭和41年8月8日下民集17巻7・8号647頁)には、代理人資格の制限は及ばないと解されている。

このように、有効説を採とると例外を認めざるを得ないが、その範囲が非常に不明確で問題となる(Q3参照)。

 

※なお、少数説として、①代理人の資格制限は310条1項の趣旨に反し無効とする説(株主の中に信頼できる適当な代理人を見つけることができない者は代理行使の機会を失うことが主な理由)、②株式に譲渡制限のある会社でのみ有効とする説(譲渡制限がない場合、だれでも株主になれるから、総会攪乱の防止はそもそもできないため)もある。

   

 

 

 

(2)議決権行使の代理人資格を株主に限る旨の定款規定の適用範囲

Q2

判例(昭和51年12月24日会社法判例百選第4版34事件・第3版37事件参照)は、株主が法人であるときにその法人株主の職員・従業員は株主でなくとも議決権行使できるとしている。

その理由は、法人から指揮命令を受ける者であるから総会攪乱のおそれがないと考えられるからである。

 

 

Q3

株主でない弁護士が代理人として総会会場に現れたときにどのように対処すべきかについて、下級審裁判例の扱いが分かれている。

 

①東京地判昭和57年1月26日判時1052号123頁は、弁護士による議決権の代理行使を拒めるとする(弁護士も例外にはならないとする)。

 

②神戸地尼崎支判平成12年3月28日判タ1028号288頁は、例外に当たる(弁護士の専門家であれば攪乱のおそれが低い)とした。弁護士の出席によって総会が攪乱されるおそれがあるなど特段の事情がない限り、代理権行使を拒めないとした。

 

しかし、②の判決には批判が多い。弁護士と依頼人立つ株主の間には法人と従業員のような指揮命令関係はないこと、および「弁護士等の専門家」という基準も不明確であることから、②判決の内容だと実務が困ると批判されている。

代理行使を認めた場合、①判決の考え方によれば、定款違反で決議取消事由になる。他方、代理行使を拒否した場合、②判決の考え方によれば、決議方法の法令(310条1項)違反になり、非常に法的に不安定になる。

 

②判決は相当特異な事例であり(決議の取消が争われた事例ではなく、議決権の代理行使を拒まれた株主が精神的損害の損害賠償請求をした事例であり、判決は代理行使の拒否は違法(旧商法違反)だが、損害はないとして請求を棄却している。よって、代理行使の拒否の適法性についての判断は傍論といえる。しかも控訴されず確定してしまった)、先例としての意義は乏しいと考えるべきであろう。

 

※もっとも、最近、札幌高判令和元年7月12日金融・商事判例1598号30頁(原審はテキストに参考判例として挙げられている、札幌地判平成31年1月31日判タ1467号249頁)は、つぎのように述べて、弁護士の代理出席を拒否したことは違法であると判示した。

 「Y社代表者は,X2社の委任状を持参したX2社の代理人であるA弁護士と面識があり,株主総会の受付において,同人が弁護士であり株主総会攪乱のおそれがないことを容易に判断できたというべきである。議決権行使の重要性に鑑みると,本件のように代理人が弁護士である等株主以外の第三者により攪乱されるおそれが全くないような場合であって,株主総会入場の際にそれが容易に判断できるときであれば,株式会社の負担も大きくなく,株主ではない代理人による議決権行使を許さない理由はない。それにもかかわらず,Y社は,届出印の印影と本件委任状に顕出されている印影の不一致を理由にX2社代理人であるA弁護士の株主総会への入場を拒絶したというのであるから,決議方法に法令(会社法310条1項)違反があったといわざるを得ない。」

 

本判決は、①会社代表者が出頭した代理人弁護士との間で面識があった点、および②会社代表者が出席を拒否した理由が弁護士が持参した委任状から検出される印影が届出印と異なることのみであった点に、事案としての特殊性がある。

よって、本判決も特殊な事案に関する事例と考えるべきであろう。

本判決は、弁護士であれば攪乱のおそれは全くないと判示しているようにも読めなくはないが、そう読むべきではないとの指摘がある。

本判決の評釈としては、弥永真生・ジュリ1550号(2020)2頁、青木浩子・令和2年度重要判例解説(ジュリ1557号)75頁などがある。

   

 

 

 

設例6-4の解説は、以上です。

今回のテーマも、難解な論点なので、詳しめの教科書および判例百選(第4版29事件・第3版32事件)の解説でしっかり復習しましょう!!

それでは、また次回!

 

 

設例7-1の解説はこちらです

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