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会社法事例演習教材の解答例Ⅱ-7(設例7-2後半)指名委員会等・監査等委員会

こんにちは、コポローです。

今回は、会社法事例演習教材(第4版)Ⅱ-7(設例7-2後半)の解答例を紹介します。

テーマは、指名委員会等・監査等委員会です。

細かい点もありますが重要なテーマなので、しっかり勉強しましょう! 

今回は、長いので、前半と後半の2回に分けて解説しています。今回は後半です。

   

 

 

 

前半の解説はこちら↓↓

kaishahou.hatenablog.jp

 

 

(5)監査等委員会の監査等委員である取締役以外の取締役の人事・報酬への関与

Q8

監査等委員会設置会社の取締役は、監査等委員である取締役とそれ以外の取締役を区別したうえで、株主総会決議によって選任される(329条2項)。

これは、監査等委員は監査役に近い性格を有するからである(監査役設置会社でも取締役と監査役は区別して選任される)。

 

監査等委員である取締役の選任議案を株主総会に提出するには、監査等委員会の同意を得なければならない(344条の2第1項)。

また、監査等委員会は、取締役に対し、監査等委員である取締役の選任について議案提出請求権を有する(同2項)。これらは監査等委員である取締役の独立性確保のためである(監査役の場合と同様(343条1~3項))。 

 

解任についても、株主総会決議(339条1項・341条)によるが、監査等委員である取締役を解任するには特別決議が必要である(344条の2第3項・309条2項7号)。これも監査役の場合と同様である(343条4項参照)。

 

監査等委員である取締役は、株主総会において監査等委員である取締役の選任・解任・辞任について意見を述べることができる(342条の2第1項)。監査役の場合と同様である(345条4項参照)。

※これは、各監査役等が個人としての意見を述べるものである。(Q10の意見陳述権と対照的)

   

 

 

 

Q9

 監査等委員会設置会社の取締役の報酬は、定款または株主総会において、監査等委員である取締役とそれ以外の取締役とで区別して定めれられる(361条1項・2項)。

監査等委員である取締役の報酬の総額を定めた場合には、監査等委員である取締役の協議により、その配分を定める(同条3項)。

取締役会への配分の一任は、監査等委員の独立性を害するため、認められない。

 

監査等委員である取締役は、株主総会で、監査等委員である取締役の報酬等について意見陳述ができる(同条5項)。

※これもQ10でみる意見陳述と異なり、監査等委員である取締役個人の意見陳述である。

 

※上記のような監査等委員である取締役の報酬に関する規律は、監査役の場合と同様になっている(387条参照)。

   

 

 

Q10

監査等委員会が選定する監査等委員は、株主総会で、監査等委員でない取締役の選任・解任・辞任について、監査等委員会の意見を述べることができる(342条の2第4項)。

同様に、監査等委員会が選定する監査等委員は、株主総会で、監査等委員でない取締役の報酬について、監査等委員会の意見を述べることができる(361条6項)。

これは、個人の意見を述べるものではなく、監査等委員会が決定した意見を述べるものである(399条の2第3項3号)。

 

※このような、(監査役にはない)人事・報酬に関する意見陳述権があることから、監査「等」委員という名称になっている。平成26年会社法改正の際の立案段階では、「監査・監督委員会」という名称だったが、「監督」と呼べるほど強力な権限ではないとして内閣法制局が反対したため、監査等委員という名称になった。

   

 

 

 

(6)監査委員会・監査等委員会と監査役会

Q11

監査役会設置会社では、常勤の監査役が必要(390条3項)。

これに対し、指名委員会等設置会社では、常勤の監査委員は不要であり、監査等委員会設置会社でも 常勤の監査等委員を定める必要はない(いずれも390条3項のような規定がない)。

これは、後述のように、指名委員会等設置会社や監査等委員会設置会社では、内部統制システムの整備が義務付けられており(416条1項1号ロホ・2項、399条の13第1項1号ロハ・2項)、監査等委員は、自ら実際に会社の業務や財産の状況を調査する(実査を行う)というよりは、むしろ内部統制システムが適切に構築・運用されているかを監視し、必要に応じて、内部統制部門に指示を与える形で監査することが主として想定されているからである。

※もっとも、常勤の監査委員や監査等委員を置いてはいけないというわけではなく、実務では、常勤の監査委員・監査等委員も多い(事業報告で開示事項となっている(施行規則121条10号))。

   

 

 

Q12

監査役会設置会社監査役は、 独任制の機関であり、各人が監査役の権限(調査権限・報告請求権限)を行使できる。

390条2項但書で監査役会決議をもっても、監査役の権限行使を妨げることはできないとされている。

 

これに対して、指名委員会等設置会社や監査等委員会設置会社では、監査委員会や監査等委員会が選定する監査委員や監査等委員が、上記の監査役の権限に対応する権限を行使できる(405条1項、399条の3第1項)。

選定された監査委員や監査等委員は、監査委員会・監査等委員会の決議に従わないといけない(405条4項、399条の3第4項)。

それ以外の 個々の監査委員や監査等委員は上記権限を行使できない(監査役と違って独任制ではない)。

 

監査役と監査委員・監査等委員とでは、想定されている監査のやり方が異なっている。

監査役は、自身で会社の業務や財産の状況を調査する(いわゆる実査を行う)。

これに対して、監査委員や監査等委員は、実査は基本的には行わず、内部統制システムを利用して組織的に監査を行うことが想定されている。監査委員や監査等委員は、基本的に、内部統制システムが適切に構築・運用されているかを監視することになる。

   

 

 

 

(7)内部統制システム

Q13

 監査役設置会社では、大会社のみに内部統制システム整備についての決定義務がある(362条5項・348条4項)。

指名委員会等設置会社 ・監査等委員会設置会社では、規模の大小を問わず、内部統制システムを整備しなければならない(416条1項1号ホ・2項、399条の13第1項1号ハ・2項)。

これらの会社では、内部統制システムを利用した組織的な監査や監督が想定されているからである(Q12の解説参照)。

 

 

 

 

Q14

 内部統制システムに関する事項を決定するのは、取締役会であり、これは取締役会の専決事項であるから、委任はできない(416条1項1号ホ2項・3項、399条の13第1項1号ハ・2項)。

 ※田中亘・会社法第3版327頁の図表4-18参照

 

Q15

 監査委員会・監査等委員会は、内部統制システムを利用して監査を行う。どれだけ実効性のある監査ができるかは、内部統制システムの出来具合による。

もし、構築されている内部統制システムに不備等があると監査員会・監査等委員会が判断すれば、取締役会に報告して(監査委員や監査等委員は全員取締役であるので容易に報告できる)、内部統制システムを改善してもらう必要がある。

※内部統制システムは、監査等委員会や監査委員会の指揮下にあるわけではなく、業務執行者(業務執行取締役や執行役)の指揮下にある。

このような形で、監査委員・監査等委員は内部統制システムの運用に関与することが想定されている。

   

 

 

 

設例7-2後半の解説は、以上です。

今回のテーマは、重要なので、詳しめの教科書でしっかり復習しましょう!!

それでは、また次回!

   

 

 

 

 

 

設例8-1の解説はこちらです

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