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会社法事例演習教材の解答例Ⅱ-8(設例8-1)定款自治・株主間契約と類似する諸制度との比較

 

こんにちは、コポローです。

今回は、会社法事例演習教材(第4版)Ⅱ-8(設例8-1)の解答例を紹介します。

テーマは、定款自治・株主間契約と類似する諸制度との比較です。

細かい点もありますが、重要なテーマなので、しっかり勉強しましょう! 

   

 

 

 

 

(1)取締役の選任に関する種類株式

Q1

非公開会社(108条1項但書)だけが、108条1項9号の種類株式を発行するすることができる。 

 

R社が非公開会社になるには、  定款変更(466)をして、全株式に譲渡制限を設ければよい(107条1項1号)。

このときの株主総会の決議は、特殊の決議(309条3項1号)となる。本問では、P社とQ社の両社が賛成すればよい。

   

 

 

Q2

非公開会社になった(Q1⇒参照)後で、定款変更(466)をして108条2項9号イの定めとして、「P社の保有する株式をa株式、Q社の保有する株式をb株式にして、a株式は取締役を1名、b株式は取締役を4名選任するものとする」旨を定款に定めればよい。

 

466条により多数決で、均一だった株式をa株式とb株式に分けることができるかという問題がある。

会社法はこのような株式の内容の変更(均一の株式の分化)に関する規定を置いていない(種類株式の内容の変更については、定款変更手続に加え、不利益を受ける種類株主の種類株主総会決議を要求している(322条1項1号ロ))。

均一の株式の分化は、多数決で決めると不利な内容の株式を少数派に押し付けることができてしまうため、問題である。

株主平等原則の観点から、このような定款変更は通常の定款変更手続では足りず、総株主の同意が必要であると考えるべきである。

   

 

 

 

 

(2)議決権拘束契約

Q3

議決権拘束契約は、当事者間(本問ではP社・Q社間)の債権契約として有効であるにとどまり、これに違反した議決権行使が行われても、契約上の責任(損害賠償責任など)が生じるにすぎず、決議の効力には影響がないと考えられている。

 

株主全員が契約当事者である場合、契約違反の議決権行使によって成立した決議は、定款違反の決議と同視できるとする見解がある(江頭説)。

831条1項1号または2号(※1:4の割合で取締役を選ぶという決議内容が定款で定められているところ、それに対する違反と評価できる)により、決議取消事由となる。

 

※この見解に立つと、(2)のケースでも(1)に近い形が実現できそう。

しかし、Q社側は、取締役を送り込んでも、P社が多数派であることから、取締役をすぐに解任されてしまうかもしれないし、欠員が出た場合にどうするかという問題もある。

取締役選任にかかる種類株式なら、解任や欠員の場合も法律で手当てがされている。

種類株式ではなく、議決権拘束契約を利用するうのであれば、解任や欠員の場合の対処についても契約で定めておくことが紛争予防の観点からは望ましい。

   

 

 

 

(3)議決権制限株式

Q4

108条1項3号は、「議決権を行使することができる事項」としており、議題レベルでの議決権制限を想定している。本問は、これを議案レベルでの議決権制限にも利用できるかという問題である。

公開会社では、115条違反となるため不可能だが、非公開会社では、これを認めても弊害はないので、認めてよいと考えられる(参考文献に挙げられた江頭編「改正会社法セミナー株式編」352頁参照)。

ただ、このような議決権制限株式を定めた場合、議案まで定款で書いておかなければならない。

このような定款の定めが許されるのなら、A~Eまでの候補者について両者の希望通りに可決・選任される。

なお、株主提案で異なる候補者が出てきても、P・Qともに議決権がないので、否決される。

   

 

 

Q5

 公開会社では115条の数量制限があるので、これを回避するために、全株式に譲渡制限を付ける定款変更行えばよい(107条1項1号、466条・309条3項1号(株主総会の特殊の決議))。

 

 

Q6

非公開会社になれば(手続はQ5参照)、属人的定めを利用することも可能である(109条2項)。

属人的定めは、309条4項の特殊の決議で採用可能。種類株式とは異なり、全員の同意は不要なので、こちらの方が容易ではあるが、多数派が少数派に不利益を強いるような場合は、株主平等原則(の趣旨)違反として無効になる(東京地立川支部判決平成25・9・25金判1518号54頁参照)。田中亘『会社法』第2版90~91頁(第3版も90~91頁)参照。

   

 

 

 

(4)拒否権付種類株式

Q7

Q社に不都合な候補者が出てくれば、Q社の種類株主総会で否決し続ける ことができ、そうすれば、いずれ好ましい候補者が出てくるかもしれないが、不確実かつ迂遠であり、R社の運営に支障をきたしかねない。

よって、拒否権付種類株式を利用することは賢明な方法とはいえない。

 

 

 

設例8-1の解説は、以上です。

今回のテーマは重要ですが、細かい論点もあるので、詳しめの教科書でしっかり復習しましょう!!

それでは、また次回!

   

 

 

 

 

設例8-2の解説はこちらです

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