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会社法事例演習教材の解答例Ⅱ-8(設例8-2前半)譲渡制限株式の譲渡承認手続に関する定款の定め

こんにちは、コポローです。

今回は、会社法事例演習教材(第4版)Ⅱ-8(設例8-2)の解答例を紹介します。

テーマは、譲渡制限株式の譲渡承認手続に関する定款の定めです。

重要なテーマなので、しっかり勉強しましょう! 

設例8-2は大変長いので、前半と後半にわけて解答例を掲載します。今回は前半です。 

   

 

 

 

Q1

 R社は非公開会社なので、取締役会がない。

そのため、会社法139条1項に基づき、株主総会が譲渡の承認を行う機関となる。

 

Q2

50対50だと、 譲渡を承認する決議も承認しない決議もできなくなる(いわゆるデッドロックの状態となる)。

つまり、会社法139条1項の決定ができないので、同条2項の通知もできないことになる。そして、同条2項の通知が出いない場合、145条2項により承認が擬制される(これは会社が通知しないことで譲渡承認請求者が不利益を受けないようにするための規定である)。

そうすると、本件の場合、せっかく譲渡制限の定めを設けていても、常に譲渡が擬制されてしまい、譲渡制限を設けた意味がなくなってしまう。

したがって、合弁会社の一方の株主が合弁事業の解消を希望したときに解消できるように、工夫する必要がある。→ケース(1)~(6)はそのような工夫の例である。

   

 

 

ケース(1)について

Q3

 こうした定めがなければ、Q2でみたようにデッドロックの状態に陥る。

(1)の定めは、承認機関を株主総会以外にして、デッドロックを回避するという意味を持つ。

   

 

 

 

Q4

 139条1項但し書きの「別段の定め」の解釈の問題に帰着する。

つぎの2通りの考え方がある。

 (A)「別段の定め」に文言上の制約はないので、(1)のような定めをしても問題ない。とくに、合弁会社の特殊性を考慮すれば、そのような定めには合理性がある。

 

(B)取締役会よりも下位の機関を決定機関と定めることはできないとの見解もある(江頭)。この見解は、株主を決めるのは、株主自身であるべきだとの原則のもと、取締役会設置会社では、逐一株主総会の招集をするのは大変なので、例外的に取締役会によって決めることができるようにしていると解する(416条4項1号参照)。

 

※この見解に対しては、そもそも譲渡制限を付けないこともできるのだから、緩やかな譲渡制限を付けることも許されるべきであり、会社の機関(株主も含む)であれば、譲渡承認の決定を委ねても問題ないのではないかとの批判もある。

 

いずれにせよ、(B)説のように、(1)の定めを無効とする見解もあるので、実務上は安全性をとって、(2)の定めも検討する必要がある。

   

 

 

 

ケース(2)について

Q5

(2)の定めは、 決定機関は株主総会のままで、議決権を行使することができる者に制限を付けたものである。

よって、139条1項但し書きの「別段の定め」で決定権者を下位の機関としてよいのかというQ4で出てきた問題を回避できるという効用がある。

   

 

 

 

Q6

(2)の定めは、ある事項につき、特定の株主について議決権を行使することができないとする規定であり、属人的定め(109条2項)に該当する。

非公開会社では、このような属人的定めが可能である(109条2項)。

   

 

 

 

Q7

可能である。

108条1項3号の議決権制限種類株式としてa株式とb株式を作り、それぞれ「当該株式についての会社法139条1項の決議について議決権を行使できない」と定めればよい。

非公開会社では、115条の制限がないので、全部の株式を議決権制限株式としてよい。

 

 ※Q6でみた属人的定めは特定の株主の属性として議決権制限を付けている。Q7でみた議決権制限株式は、株式の属性として議決権制限を付けている。株式の内容に組み込んでいるので、種類株式となる。本問ではR社は非公開会社であり、いずれの方法も使える。

 

 

 

設例8-2前半の解説は、以上です。

今回のテーマは、重要ですが、細かい論点もあるので、詳しめの教科書でしっかり復習しましょう!

それでは、また次回!

 

   

 

 

 

設例8-2後半の解説はこちらです

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