司法試験・予備試験・ロー入試に向けた会社法

司法試験上位合格者が会社法についてわかりやすく解説します

会社法事例演習教材の解答例Ⅱ-9(設例9-2後半)少数株主の締出し(キャッシュ・アウト)

こんにちは、コポロー(コポロー@法律学習(特に会社法)(@KaishahoBlog)さん / Twitter)です。

今回は、会社法事例演習教材(第4版)Ⅱ-9(設例9-2後半)の解答例を紹介します。

テーマは、少数株主の締出し(キャッシュ・アウト)です。

細かい点もありますが重要なテーマなので、しっかり勉強しましょう!

   

 

 

 

 

今回は、長いので、前半と後半の2回に分けて解説しています。今回は後半で、特別支配株主による株式等売渡請求によるキャッシュ・アウトを扱います。

前半の解説はこちらです↓↓

kaishahou.hatenablog.jp

 

 

(2)特別支配株主の株式等売渡請求による締出し

Q7

 特別支配株主の株式等売渡請求には、全部取得条項付種類株式・株式併合による場合と比べた場合に、株主総会決議が不要である(時間と費用があまりかからない)という利点がある。

   

 

 

 

 

Q8

Xが利用できる救済手段としては、以下の3つがある。

➀価格決定の申立て(179条の8)

※なお、判例(最決平成29年8月30日民集71巻6号1000頁(会社法判例百選第4版83事件))によれば、売渡株主等への通知または公告後に売渡株式等を取得した者は売買価格決定の申立てができない

この判例に対しては、反対する有力学説もある(田中亘・会社法第3版642頁(第2版619頁))。

 

 

②差止請求(179条の7第1項)

→(ア)株式売渡請求が法令に違反する場合、(イ)対象会社が売渡株主への通知もしくは事前開示規制に違反した場合、または(ウ)特別支配株主が定めた売渡対価が著しく不当である場合に、不利益を受けるおそれのある売渡株主は売渡株式等の全部の取得をやめるよう請求することができる。

 

③売渡株式等の全部の取得の無効の訴え(846条の2第1項) 

何が無効原因となるかは解釈問題である(詳しくは、江頭憲治郎・株式会社法第8版286頁注2(第7版283頁注2)参照)。

まず、重大な手続違反(取得者の議決権不足、対象会社の取締役会の承認決議の欠缺など)は無効事由になると解される。

対価が著しく不当な場合も、無効原因となるとする見解も有力である(田中亘・会社法第3版643頁(第2版620頁)参照)。→Q11で扱う問題。

そのほか、正当な事業目的がない場合も無効事由となるかについて議論がある(設例9-2前半の解説(Q3⇒)を参照)。

   

 

 

 

Q9

対価となる金銭の額の相当性、支払いの見込み、取引条件等を考慮して承認するかどうかを判断することにより、売渡株主の利益保護を図るためである。

取締役は株主共同の利益を図る義務があると解されている(東京高判平成25年4月17日会社法判例百選第4版52事件・第3版54事件、田中亘・会社法第3版644頁(第2版621頁)参照)。

 

⇒1

 対価となる金銭の額の相当性、支払いの見込み、取引条件等(江頭憲治郎・株式会社法第8版281頁注2(第7版278頁注2)参照)。

 

⇒2

 取締役の善管注意義務違反となり、売渡株主に対して対第三者責任(429条1項)や不法行為責任を負いうる。

   

 

 

Q10

 取得対価が著しく不当である場合も、差止事由となる(179条の7第1項3号)。

この点は、全部取得取得条項付種類株式の全部取得の場合(171条の3)や株式併合の場合(182条の3)と異なっている(これらは株主総会決議を経る手続であり、特別支配株主の株式等売渡請求と手続が異なる)。

179条の7は、株主総会決議なしに行われる、略式組織再編の差止制度(784条の2第2号、796条の2第2号)と平仄を合わせた規定となっている。

   

 

 

Q11

 取得の無効の訴え(846条の2第1項)における無効原因は解釈問題である。

 対価が著しく不当である場合、差止めや価格決定の申立てができることから、無効事由とはならないとする見解もありうるが、不当な対価による取得を一般的に抑止するために無効事由になるとする見解が有力である(田中亘・会社法第3版643頁(第2版620頁)。

差止請求は、通常、仮処分手続で争われ、時間的制約のため対価の相当性について十分な審理は期待できないことから、事後的な無効主張の余地も認めるべきである(田中・同頁)。

取得された株式の転々流通もほとんど起こらないため、事後的な無効主張を認めても取引安全はあまり害されないだろう。

   

 

 

設例9-2後半の解説は、以上です。

今回のテーマは、重要なので、詳しめの教科書でしっかり復習しましょう!!

それでは、また次回!

 

Twitterでも、法律学習に関する情報を発信していますので、フォローしてもらえればと思います↓↓(^^♪

コポロー@法律学習(特に会社法)(@KaishahoBlog)さん / Twitter

 

   

 

 

 

 

 

 

設例9-3の解説はこちらです

kaishahou.hatenablog.jp

 

 

その他おすすめ記事です

kaishahou.hatenablog.jp

kaishahou.hatenablog.jp