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会社法事例演習教材の解答例Ⅱ-10(設例10-2後半)合併の効力発生と権利義務の承継

こんにちは、コポローです。

今回は、会社法事例演習教材(第4版)Ⅱ-10(設例10-2後半)の解答例を紹介します。

テーマは、合併の効力発生と権利義務の承継です。

重要なテーマなので、しっかり勉強しましょう!

 

 

 

 

 

今回は、長いので、前半と後半の2回に分けて解説しています。今回は後半です。

前半の解説はこちらです↓↓

kaishahou.hatenablog.jp

 

 

(4)合併登記後に消滅会社名義で行われた売買の効果

Q9

本件売買は、すでに合併の効力が発生した後かつ合併登記も備えられた後になされており、 Q社もQ社代表者も法的に存在していない状況でなされたものであるから、Xは無権代表者から土地を購入したことになる。

よって、本件土地の売買は無効である。

   

 

 

 

Q10

本件売買は、合併登記の後になされているから、P社はQ社消滅ひいては本件売買契約の無効をXに対抗することができる。(750条2項は合併登記まではQ社の消滅を第三者に対抗できないと定めており、登記後は第三者にQ社の消滅を対抗できる。)

よって、Xの本件請求は認められない。

   

 

 

 

Q11

合併による所有権移転登記の有無により違いは生じない。

当該登記がされていなければ、登記簿上はQ社が所有者だが、不動産登記に公信力はないので、これを信じたXは保護されない。

合併登記がある以上は、750条2項でP社は本件売買契約締結時にQ社とAの代表権がないことをXに対抗することができる(民法94条2項類推適用は排除される)。

よって、Q社からP社への所有権移転登記の有無に関わらず、P社はXの請求を拒むことができる。 

 

 

 

 

(5)消滅会社が新株予約権を発行していた場合

合併における新株予約権の取り扱いは複雑である。

新株予約権を消却したい場合、自己新株予約権のみが消却可能なため(296条)、強制的に取得する必要がある。

そのためには、事前に取得条項を新株予約権の内容に組み込んでおく(236条1項7号、273条1項)ことが必要。

消却しない(できない)場合、Q12の問題が生じる。

   

 

 

Q12

会社法では、合併時における新株予約権の取り扱いについて、➀~③の規律が設けられている。

➀まず、会社法236条1項8号イで、合併するときにQ社の新株予約権に存続会社の株式を交付するときは、その旨とその条件を新株予約権の内容として定めることができる。

 

②つぎに、➀の定めの有無にかかわらず、749条1項4号5号で、Q社が新株予約権を発行している場合、Q社の新株予約権に替えて、P社の新株予約権を交付するか、金銭を交付するかを合併契約において、定めることができる(「~を交付するときは」となっているので、合併契約の必要的記載事項ではない)。

 

③そして、787条1項1号で、②の定めが➀の定めに合致する新株予約権以外の新株予約権(つまり、発行時に➀の定めがない場合、合併契約に②の定めがない場合、➀と②の定めの内容が異なる場合)については、新株予約権買取請求権(Q社に対し、新株予約権を公正な価額で買い取りよう請求する権利)が新株予約権者に与えられる。

   

 

 

 

Q13

上記➀の定めがあったのに、 P社が新株予約権の交付を拒むときには、次の2つの場合がある。

 

1)➀の定めがあったにもかかわらず、そのような内容の②の定めがされなかったとき、787条1項1号の新株予約権買取請求権による保護があるので、大きな問題はない。

 

2)➀の定めと同じ内容で②の定めが置かれたが、P社がそれを履行しなかったとき、新株予約権買取請求権の対象ではない。新株予約権者保護の手段としては、合併無効事由に当たると解するほかない。新株予約権者保護の手続が履行されなかったといえ、債権者異議手続が履行されなかった場合と同様に、合併無効事由になると解してよい。

 

設例10-2後半の解説は、以上です。

今回のテーマは、重要なので、詳しめの教科書でしっかり復習しましょう!!

それでは、また次回!   

 

 

 

 

設例11-1の解説はこちらです

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