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会社法事例演習教材の解答例Ⅱ-11(設例11-2)会社分割における債権者の保護

こんにちは、コポローです。

今回は、会社法事例演習教材(第4版)Ⅱ-11(設例11-2)の解答例を紹介します。

テーマは、会社分割における債権者の保護です。

細かい点もありますが、重要なテーマなので、しっかり勉強しましょう! 

   

 

 

 

(1)取引上の債権者

Q1

 Aの有する農薬原料の代金債権は、殺虫剤・農薬等の製造販売部門に関する債権なので、新設分割計画によると、P社が負担する当該代金債務はQ社に免責的に承継される。よって、新設分割計画によると、分割後は、Q社だけがAに弁済する義務を負う。

   

 

 

 

Q2

 Aの債権はQ社に免責的に承継されるので、債権者異議手続の対象となる(810条1項2号)。

よって、810条2項により、P社は知れている債権者に各別の催告をしなければならない。

ただ、810条3項により、定款の定めに基づき、官報公告のほか、日刊新聞への掲載または電子公告により公告した場合、各別の催告を省略できる。

 

本問では、P社の定款で公告は官報によることが定められているので、官報による公告しかできない。よって、810条3項により各別の催告を省略することはできない。

本問では、P社はAに各別の催告をしなければならないのにしていないから、764条2項に基づき、(新設分割計画の定めにかかわらず)AはP社に対しても、債務の履行を請求できる。

   

 

 

 

 

(2)不法行為債権者

Q3

 BはP社に対して、不法行為に基づく損害賠償請求権を有する。

当該不法行為債務も「殺虫剤・農薬等の製造販売部門に関する一切の債務」に含まれるので、Q社に承継される。

よって、新設分割計画によれば、分割後はQ社のみがBに対して弁済する義務を負う。

   

 

 

Q4

 P社は会社分割前にはBに対する不法行為債務が発生していることを知らなかったため、各別の催告ができていない。

各別の催告を受けなかったBは、(1)のAの場合と同様に、P社に対して賠償請求できる(764条2項)。

 

平成26年会社法改正前は、764条2項で、請求できるのは、810条2項の各別の催告をしなければならない者に限ると規定されており、810条2項は知れている債権者にのみ各別の催告をしなければならないとしていたため、Bが保護されない懸念があったが、平成26年会社法改正で、764条2項の文言が是正された(764条2項の2つ目のかっこ書き参照)。

※吸収分割に係る759条2項についても同様の改正がなされた。

   

 

 

 

 (3)時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙における公告がなされた場合

Q5

 810条3項により、厳重な公告(①官報公告に加え、②日刊新聞紙による公告または電子公告)をすれば、不法行為債権者を除いて、各別の催告を省略することができるとされている。

よって、P社は取引上の債権者Aについては、各別の催告をしなくてよい。

そして、764条2項の 2つめの括弧書きにあるように、810条3項により、各別の催告を省略できる場合は、各別の催告を受けなかった者(A)は、P社に対して、弁済を請求できない。

   

 

 

 

 

Q6

 不法行為債権者については、各別の催告を省略できない(810条3項括弧書き)。

これは、不法行為債権者は、日刊新聞紙や電子公告に注意をしておくことが一般的に期待できず、契約債権者のような自衛策をとることも困難であるからである。

よって、各別の催告を受けていないBは、764条2項(2つ目の括弧書き参照)に基づき、

P社に対して損害賠償請求をできる。 

 

 

設例11-2の解説は、以上です。

今回のテーマは重要なので、詳しめの教科書でしっかり復習しましょう!!

それでは、また次回!

   

 

 

 

設例11-3の解説はこちらです

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