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2021年(令和3年)司法試験の出題分野予想(行政法)

 

こんにちは、コポローです。

今日は、令和3年度司法試験(行政法)の出題分野について、いくつか予想したいと思います。

 

目次

 

司法試験の出題は、原則として、過去3年程度の過去問(予備試験を含む)と出題分野が重ならないように配慮されているといわれていますので、まず、過去3年程度の出題分野は予想から除外します。

過去の出題分野は下記の通りです(過去問をまだ解いていない人はネタバレを含みますので閲覧注意です)。

 

司法試験の出題動向(出題の趣旨からの抜粋)

令和2年度
農地を他の目的に転用するに際しては農地法第4条第1項に基づく都道府県知事等による農地転用許可を要するが,当該農地が農業振興地域の整備に関する法律(以下「農振法」という。)第8条第1項に基づく市町村の農用地利用計画により,農用地区域内の農地に指定されている場合には,原則として,農地の転用は認められない。したがって,こうした農地を転用するためには,その前提として,農振法第13条第1項に基づく計画変更による当該農地の農用地区域からの除外を求めなければならない。本問は,近隣農家のための医院設置を目的として農地(以下「本件農地」という。)を転用するため,それを農用地区域から除外するためのB市による農用地利用計画(以下「本件計画」という。)の変更が求められた事例について,農振法や関係法令の仕組みを踏まえながら,そこでの法律問題を分析することが求められている。
まず,本問の事例においては,Xによる本件農地を農用地区域から除外するための本件計画の変更をB市が認めておらず,それを争う前提として,本件計画の変更及びその申出の拒絶の処分性が問われている(設問1(1))。さらに,本件計画の変更及びその拒絶が処分であることを前提として,Xによる本件農地の農用地区域からの除外の申出をB市が受け付けず,これに対する可否の通知をしていない状況において,Xが選択すべき抗告訴訟の検討が求められる(設問1(2))。最後に,B市により,本件申出を拒絶する通知がなされた場合に,それに対する取消訴訟において,Xがどのような違法事由を主張すべきかが問われている(設問2)[やや複雑な法令の適用関係に照らして,農振法第13条第2項第5号の要件の充足性を検討する/委任した法律の趣旨目的に適合するように解釈]。以上の点について,【法律事務所の会議録】を踏まえながら,そこで示されている弁護士Cの指示に沿って,B市による反論も想定しつつ,弁護士Dの立場から検討することが求められる。

 

平成31年

本問は,新たな市道(以下「本件道路」という。)の整備のために,C市が,土地収用法(以下「法」という。)に基づいて,Aの土地(以下「本件土地」という。)を収用しようとした場合に生じる法的な問題について,検討を求めるものである。土地収用の手続きは,事業認定(法第20条),収用裁決(法第47条の2)といった段階を踏んで進められていくが,本問においては,このような土地収用手続の過程を理解して検討することが求められている。
本問では,C市を起業者として行われた事業認定(以下「本件事業認定」という。)やAに対する権利取得裁決(以下「本件権利取得裁決」という。)はいずれも出訴期間を経過しており(行政事件訴訟法第14条),Aはこれらの処分に対して適法に取消訴訟を提起して争うことはできない。もっとも,本件権利取得裁決については,例外的に「正当な理由」が認められるとして,取消訴訟を提起することができる場合も考えられ,論じられるべき第1の問題は,仮に,行政事件訴訟法第14条における「正当な理由」が認められ,本件権利取得裁決に対する取消訴訟(以下「本件取消訴訟」という。)を適法に提起することが可能であるとした場合,Aは,本件取消訴訟において,本件事業認定の違法を主張することができるかである(設問1)[違法性の承継。論じられるべき第2の問題は,本件権利取得裁決に対して無効確認訴訟を提起した場合(行政事件訴訟法第3条第4項),Aに,無効確認訴訟の原告適格が認められるかどうかである(設問2(1))。最後に,論じられるべき第3の問題は,本件事業認定に裁量の範囲を逸脱又は濫用した違法が認められるかどうかである(設問2(2))。以上の点について,資料を踏まえて論じることが求められている。

 

平成30年度

本問は,「墓地,埋葬等に関する法律」(以下「法」という。)第10条第1項に基づいて,宗教法人Aが墓地(以下「本件墓地」という。)の経営許可を申請した場合(以下「本件申請」という。),それに関して生じる法的な問題について,経営許可の権限を有する地方公共団体B市の主張を考慮しつつ,検討を求めるものである。

本問で論じられるべき第1の問題は,本件申請に対して許可(以下「本件許可処分」という。)が行われた場合,本件墓地の近隣で別の墓地を経営している宗教法人Dと,障害福祉サービス事業を行う法人Eに,本件許可処分に対して取消訴訟を提起する原告適格が認められるかである(設問1(1))。論じられるべき第2の問題は,仮にEに原告適格が認められた場合,本件許可処分が違法であるとして,Eがどのような主張をすることが考えられるか,また,それらの主張が制限を受けることはないかである(設問1(2))。そして,論じられるべき第3の問題は,本件申請に対して不許可処分(以下「本件不許可処分」という。)が行われ,Aが,本件不許可処分に対して取消訴訟で争う場合,Aが本件不許可処分の違法事由としてどのような主張をすることができるか[裁量権の範囲である(設問2)。これらの点を,法,法に関して最小限必要な許可要件や手続を定めた「B市墓地等の経営の許可等に関する条例」(以下「本件条例」という。)等の資料を踏まえて論じることが求められている。

 

平成29年度

 本問は,道路法第8条により市町村道としての認定を受けていた道路(以下「本件市道」という。)に,本件市道に隣接する保育園(以下「本件保育園」という。)を経営する社会福祉法人Aが簡易フェンス(以下「本件フェンス」という。)を設置し,さらに,本件市道を管理するY市が同法第10条第1項に基づき本件市道の路線を廃止してAに売り渡すことを検討しているという事案における法的問題について論じさせるものである。論じさせる問題は,本件市道の路線がまだ廃止されていない状態における本件フェンスを撤去させるための抗告訴訟(〔設問1〕)及びY市長が本件市道を廃止した場合を想定した取消訴訟(〔設問2〕)である。問題文と資料から基本的な事実関係を把握し,同法の関係規定の趣旨を読み解いた上で,非申請型義務付け訴訟における訴訟要件[※原告適格を含む]及び一定の処分がされないことの違法事由[※行政裁量]並びに取消訴訟における処分性及び本案の違法事由[※行政裁量]について論じることを求めるものである。

 

 

 予備試験の出題動向(出題の趣旨からの抜粋)

令和2年度

本問は,都市計画法上の開発許可の事前手続を定めた条例(以下「条例」という。)
の運用に際して,市と事業者の間で,事業者の開発制限に関する条項(以下「本件
条項」という。)を含む開発協定が締結され,さらに,本件条項を前提にして,条
例に基づく事前協議を受けることができないという市長の通知(以下「本件通知」
という。)が発せられたという事実を基にして,行政契約の実体法的な制約,及び
取消訴訟の訴訟要件に関する基本的な知識・理解を試す趣旨の問題である。
設問1は,本件条項の法的拘束力を問うものである。本件条項は,公害防止協定
に類する規制的な契約であることから,最高裁判所平成21年7月10日第二小法
廷判決(裁判集民事231号273頁)などを踏まえて,その法的拘束力の有無に
ついて検討することが求められる。その際,本件の事例に即して,とりわけ開発許
可制度の趣旨を踏まえて論ずる必要がある。
設問2は,本件通知の処分性の有無を問うものであり,処分性に関する最高裁
例を基に検討することが求められる。その際,本件通知の法的根拠の有無,本件通
知が条例上の措置や開発許可との関係でいかなる意義を有するか,開発不許可処分
取消訴訟において本件通知の違法性を争うことができるか,などについて,都市
計画法や条例の規定を基に論ずることが求められる。

 

平成31年

設問1においては,A県屋外広告物条例(以下「条例」という。)に基づく広告
物設置等の許可処分(以下「本件許可処分」という。)について,それにより景観
や生活・健康が害されることを主張する隣地居住者の原告適格を,当該原告の立場
から検討することが求められる。まず,行政事件訴訟法第9条第1項所定の「法律上の利益を有する者」に関する最高裁判例で示されてきた判断基準について,第三者原告適格の判断に即して,正しく説明されなければならない。その上で,原告が主張する景観と生活・健康(安眠)に関する利益について,それぞれ,本件許可処分の根拠法規である条例やA県屋外広告物条例施行規則(以下「規則」という。)によって保護されているものであることが,許可の要件や目的などに即して,具体的に説明されなければならない。さらに,これらの利益について,それらが一般的な公益に解消しきれない個別的利益といえることが,その利益の内容や範囲等の具体的な検討を通じて,説明され
なければならない。
設問2においては,許可地域等において広告物等と鉄道等との距離を要件とする
規則所定の許可基準について,条例がこれを委任した趣旨に適合し委任の範囲内に
あるかを,その無効を主張する原告の立場から検討することが求められる
まず,この規則が定める許可基準が条例の委任に基づいて定められた委任命令で
あり,条例の委任の趣旨に反すれば無効となることが明確にされなければならない。
つぎに,条例の委任の趣旨,言い換えれば条例が許可制度を設けた趣旨について,
目的規定,許可地域等の定め方など,条例の規定に照らして,具体的に検討されな
ければならない。最後に,こうした目的に照らして,鉄道から広告物等が見通せるか否かを問題にすることなく,それとの距離を要件とする許可基準の定め方につき,これが条例の委任の趣旨と矛盾することから,これを定める規則が無効であるとの結論が導かれるべきこととなる。

 

平成30年度
設問1は,Y県消費生活条例(以下「条例」という)に基づく勧告と公表のそ
れぞれについて,その処分性行政事件訴訟法第3条第2項にいう「行政庁の処
分その他公権力の行使に当たる行為」への該当性)の有無の検討を求めるもので
ある。
まず,最高裁判所昭和39年10月29日判決(民集18巻8号1809頁。
大田区ゴミ焼却場事件)などで示された処分性の一般論を正しく説明し,処分性
の有無を判定する際の考慮要素を挙げることが求められる。また,最高裁判所
成20年9月10日判決(民集62巻8号2029頁。土地区画整理事業計画事
件)などの近時の判例では,実効的な権利救済を図るという観点を考慮する場合
もあるが,このような実効的な権利救済について指摘することは加点事由となる。
その上で,勧告の処分性については 「公表を受け得る地位に立たされる」とい,
う法効果が認められるか否か,条例第49条(※当初掲載した出題の趣旨では条
例第48条と記載していましたが 条例第49条の誤りでしたので訂正しました , 。)
に基づく手続保障の存在が処分性を基礎付けるか否か,勧告段階での実効的な救
済の必要が認められるか否か,の3点について当事者の主張を展開することが求められる。同様に,公表の処分性についても,公表のもたらす信用毀損等が法的な効果に
当たるか否か,公表に制裁的機能が認められるか否か,公表に対する差止訴訟を
認めることが実効的な権利救済の観点から必要か否か,の3点について当事者の
主張を展開することが求められる
設問2は,勧告に処分性が認められることを前提にした上で,勧告の違法性につ
いて検討を求めるものである。
まず,条例の文言の抽象性,侵害される権利利益の性質・重大性,専門的判断の
必要性の3つを踏まえて,行政庁の裁量権が認められるか否かについて,当事者の
主張を展開することが求められる。次に,Xがした勧誘行為が条例第25条に掲げる「不適正な取引行為」の類型に当てはまるか否かの検討が必要となる。具体的には,同条第4号にいう「威迫して困惑させること 」「迷惑を覚えさせること」 「心理的に不安な状態若しくは正常な判断ができない状態にすること」の3つの要件の該当性を検討することが求められる。また 条例第48条にいう 消費者の利益が害されるおそれ の要件については ,「将来において違反行為が繰り返される可能性を踏まえて,その有無を検討すること」が求められる。3つ目として,仮に要件該当性が認められるとしても,その効果として,勧告を行うことが比例原則に反するか否か,あるいは裁量権の逸脱・濫用に当たるか否かの検討が求められる。具体的には,前者については,比例原則に関する一般論を展開した上で,Xの違反行為の態様やその後の対応,Xが受ける不利益の程度を考慮に入れて当事者の主張を展開することが求められる。また,後者については,裁量権の逸脱・濫用に関する一般論を展開した上で,Xの違反行為の態様やその後の対応,Xが受ける不利益の程度を考慮に入れて当事者の主張を展開することが求めら
れる

 

平成29年度
設問1は,産業廃棄物処理施設の設置許可の申請に対し,知事が許可を留保した
上で,周辺住民との紛争を調整する行政指導を行った事例について,国家賠償法
の違法性の検討を求めるものである。
マンションの建築確認を留保して周辺住民との紛争を調整する行政指導を行った
事案である最判昭和60年7月16日民集39巻5号989頁を踏まえ,行政指導
が継続されている状況の下で許可の留保が違法になる要件として,申請者において
許可を留保されたままでの行政指導にはもはや協力できないとの意思を真摯かつ明
確に表明したこと,及び,申請者が受ける不利益と行政指導の目的とする公益上の
必要性とを比較衡量して,申請者の行政指導への不協力が社会通念上正義の観念に
反するといえるような特段の事情がないことの二つを適切に示すことが求められる。
その上で,問題文中に示された事実を適切に上記の要件に当てはめて,許可の留
保の違法性を主張することが求められる。具体的には,真摯かつ明確な意思の表明
に関する事情として,内容証明郵便の送付が挙げられる。次に,特段の事情の有無
に関わる事情として,①Aの受ける不利益(建設費用の高騰による経営の圧迫 ,)
②行政指導の目的とする公益(周辺住民との十分な協議による紛争の円満解決 ,)
③社会通念上正義の観念に反する事情(説明会におけるAの不誠実な対応やAが示
した譲歩策の撤回)が挙げられる。これらの事実を示した上で説得力ある主張を展
開することが求められる。なお,上記①及び③の事情については,意思表明の真摯
性と関係付けて論じることも考えられる。
設問2は,付近住民が産業廃棄物処理施設の設置許可に対する取消訴訟を提起し
た場合に,原告適格が認められるか否かを問うものである 。「法律上の利益」の解釈を踏まえ,行政事件訴訟法第9条第2項の考慮要素に即して,関係する法令の規定や原告らの置かれている利益状況を適切に考慮して,その有無を判断することが求められる。
まず,法令の趣旨・目的の検討については,廃棄物の処理及び清掃に関する法律第1条の目的規定に定める「生活環境の保全及び公衆衛生の向上」や第15条第6項の定める利害関係者の意見提出権,第15条の2第1項第2号の許可基準の定める 周辺地域の生活環境の保全 等が原告適格を基礎付ける要素に当たるか また 同法施行規則第11条の2が「周辺地域の生活環境に及ぼす影響」の調査を求めていることが原告適格を基礎付ける要素に当たるかを検討することが求められる。次に,設置許可において考慮されるべきC1及びC2それぞれの利益の内容・性質について検討することが求められる。本件処分場がもたらす環境影響として,有害物質の飛散と地下水の汚染がもたらす健康被害や生業上の損害 農作物への被害 が考えられるが,これらの利益の内容及び性質(重要性や回復可能性等)や侵害の可能性を踏まえて判断することが求められる。さらに 原告適格が認められる者の具体的範囲について 本件調査書における 「対象地域」をどのように考慮し得るかが問題となる。近時の判例最判平成26年7月29日民集68巻6号620頁)では,本問と類似の事案において,具体的な権利侵害の証明がされない場合でも,対象地域内に居住すること等を考慮してて原告適格が認められており,この判断を踏まえた検討がされることが望ましい。

 

令和3年度の出題分野予想

・出題予想としては、抗告訴訟の訴訟要件(処分性・原告適格など)と違法事由(行政裁量)はほとんど毎年出題されていることから、今年も出題されそうです。このほか、行政処分の取消し・撤回に関する問題行政基準、行政手続行政指導、国家賠償法、損失補償に関する問題もそろそろ出題されそうです。

・いずれにせよ、その場で考えさせるタイプの問題になるので、行政事件訴訟法の各制度や条文の趣旨、重要判例の内容を理解したうえで、問題となる法令の仕組みや趣旨および問題文の状況をしっかり読み込み、論理的・合理的な解釈・あてはめを行うよう心がけましょう!

 

なお、司法試験の出題は、主として学者委員が問題案を持ち寄り、投票・議論等を経て決まります。ですので、学者委員の関心や考え方を知っておくことは有益です。

学者委員のプロフィールや著作等については、下記記事も参考にしてみてください(私の上記出題予想もこれを一定程度踏まえています)。

 

kaishahou.hatenablog.jp

 

本記事がみなさんの参考になれば幸いです。

それではまた!