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最新判例解説・最判令和3年7月5日(株式買取請求後に仮払いを受けた株主は価格確定まで株主総会議事録閲覧謄写請求権者たる「債権者」に当たる)

こんにちは、コポローです。

「最近の会社法関係の重要判例について、学習者向けに要点を分かりやすく解説する」記事を連載しています。

最近の予備試験や司法試験では、裁判例を題材(元ネタ)の一部とした出題が散見されます。

そこで、重要判例解説や商事法務掲載の解説などを参考に、各種試験との関係で重要な裁判例をピックアップし、要点を分かりやすく解説していきたいと思います。

「最近の判例」の基準としては、会社法判例百選第3版に掲載されていない判例を念頭においています。

   

 

第10回となる今回の判例は、最判令和3年7月5日裁判所ウェブサイト株式買取請求後に会社から仮払いを受けている株主は、価格が確定されるまでは、株主総会議事録の閲覧謄写請求を行いうる「債権者」に当たるとした判例)です。

 

出たばかりの判決のため、公刊判例集には(7月9日現在では)未搭載ですが、裁判所ウェブサイトに掲載されています。

 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90461

 

 

(事案の概要)

①Y社の株式の併合に反対する株主Xが、Y社に対して株式の買取請求をしたところ、Y社と価格で協議が整わなかったため、裁判所に対し、株式の価格決定の申立てをした。

②その後Y社は、価格決定の前の時点で、株主Xに対し、会社法182条の5第5項に基づき、会社が公正と認める額を支払った(いわゆる仮払制度に基づく支払い)。

③株主Xは、自らは本件株式の価格の支払い請求権を有しており会社の「債権者」にあたるとして、会社法318条4項に基づき、会社の株主総会議事録の閲覧・謄写を求めた(本件訴訟)。

④本件株式の価格決定申立て事件は、本件訴訟(株主総会議事録の閲覧謄写請求事件)の原審の口頭弁論終結時に、東京地裁に係属中であり、本件株式の価格の決定はなされていない状態であった。

⑤なお、会社側は、株主は会社から会社法182条の5第5項に基づく支払い(仮払い)を既に受けているから、本件株式の価格が当該仮払いの額を上回らない限り、会社法318条4項の「債権者」にはあたらない、と反論していた。

 

(法的争点)
株式買取請求および株式の価格決定申立てをした後、会社から公正な価格の仮払い(会社法182条の5第5項)を受けている株主が、株主総会議事録の閲覧謄写請求を行いうる「債権者」(会社法318条4項)にあたるか。

 

 

(判旨)

会社法318条4項は、株式会社の株主及び債権者は株主総会議事録の閲覧等を請求できる旨を定めている。そして、同法182条の4第2項各号に掲げる株主(反対株主)は、株式併合により1株に満たない端数となる株式につき、同条1項に基づく買取請求をした場合会社との間で法律上当然に売買契約が成立したのと同様の法律関係が生ずることにより上記株式につき公正な価格の支払を求めることのできる権利を取得し最高裁平成22年(許)第30号同23年4月19日第三小法廷決定・民集65巻3号1311頁参照)、同法318条4項にいう債権者に当たることとなると解される。


 ところで、会社は、上記株式の価格の決定があるまでは、上記買取請求をした者に対し、自らが公正な価格と認める額を支払うことができる(同法182条の5第5項)。もっとも、上記株式の価格は上記の者と会社との間の協議により又は裁判によって決定されるところ(同条1項、2項)、同法182条の4第1項の趣旨が、反対株主に株式併合により端数となる株式につき適切な対価の交付を確保することで上記株式についての反対株主の利益の保護を図ることにあることからすれば、上記裁判は、裁判所の合理的な裁量によってその価格を形成するものであると解される(前掲最高裁平成23年4月19日第三小法廷決定参照)。そうすると、上記協議が調い又は上記裁判が確定するまでは、この価格は未形成というほかなく、上記の支払によって上記価格の支払請求権が全て消滅したということはできない

 (中略)

 したがって、同法182条の4第1項に基づき株式の買取請求をした者は、同法182条の5第5項に基づく支払を受けた場合であっても、上記株式の価格につき会社との協議が整い又はその決定に係る裁判が確定するまでは、同法318条4項にいう債権者に当たるというべきである。」

 

 

 

(解説)

以上のように、最高裁は、「株式買取請求後に仮払いを受けた株主は、価格が確定されるまでは、株主総会議事録閲覧謄写請求権者たる『債権者』に当たる」としました。

 

学説等の議論は乏しい問題についての判決ですが、仮払い制度の趣旨からすると、妥当な判決だと思われます。

 

評釈等が出てきましたら、詳しい解説を記載したいと思います。

 

今回の記事は以上です。

少しでもみなさんの参考になれば幸いです!!

それではまた!!!

  

 

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