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判例解説・最判令和3年1月26日(社債に利息制限法の適用はあるか)

こんにちは、コポローです。

「最近の会社法関係の重要判例について、学習者向けに要点を分かりやすく解説する」記事を連載しています。

最近の予備試験や司法試験では、裁判例を題材(元ネタ)の一部とした出題が散見されます。

そこで、重要判例解説や商事法務掲載の解説などを参考に、各種試験との関係で重要な裁判例をピックアップし、要点を分かりやすく解説していきたいと思います。

「最近の判例」の基準としては、会社法判例百選第3版に掲載されていない判例を念頭においています。

   

 

第11回となる今回の判例は、最判令和3年1月26日社債に対する利息制限法の適用を原則として否定した最高裁判例)です。

 

 

(事案の概要)


①Y社は、平成24年、Z社の発行する社債の募集に応じてその割当てを受け(以下、Y社が割当てを受けた社債を「本件社債」という)、本件社債の募集事項に従い2000万円を払い込んだ。

 

②Y社は、その後平成27年までの間に、Z社から利息制限法1条所定の制限利息を超える利率による利息の支払と社債の償還を受けた。

 

③Z社は平成24年3月から平成27年11月の間に本件社債を含め、合計203回にわたり社債を発行した。社債権者は常に1名であり、そのほとんどが利息制限法1条所定の制限利息を超える利率を定めていた。

 

④Z社は、平成28年4月に破産手続開始の決定を受け、弁護士Xが破産管財人に就任した。Xは、Y社に対し、利息制限法1条所定の制限利息を超える利息として支払った金額を元本に充当すると過払金が発生しているとして、不当利得返還請求権に基づき、過払金の返還等を求めた。

 

(判旨)

「利息制限法1条は,『金銭を目的とする消費貸借』における利息の制限について規定しているところ,社債は,会社法の規定により会社が行う割当てにより発生する当該会社を債務者とする金銭債権であり(同法2条23号),社債権者が社債の発行会社に一定の額の金銭を払い込むと償還日に当該会社から一定の額の金銭の償還を受けることができ,利息について定めることもできるなどの点においては,一般の金銭消費貸借における貸金債権と類似する。

  しかし,社債は,会社が募集事項を定め,会社法679条所定の場合を除き,原則として引受けの申込みをしようとする者に対してこれを通知し(同法677条1項),申込みをした者の中から割当てを受ける者等を定めることにより成立するものである(同法677条2項,3項,678条,680条1号)。このように社債の成立までの手続は法定されている上,会社が定める募集事項の『払込金額』と『募集社債の金額』とが一致する必要はなく,償還されるべき社債の金額が払込金額を下回る定めをすることも許されると解される(同法676条2号,9号参照)などの点において,社債と一般の金銭消費貸借における貸金債権との間には相違がある。また,社債は,同法のみならず,金融商品取引法2条1項に規定する有価証券として同法の規制に服することにより,その公正な発行等を図るための措置が講じられている。

  ところで,利息は本来当事者間の契約によって自由に定められるべきものであるが,利息制限法は,主として経済的弱者である債務者の窮迫に乗じて不当な高利の貸付けが行われることを防止する趣旨から,利息の契約を制限したものと解される社債については,発行会社が,事業資金を調達するため,必要とする資金の規模やその信用力等を勘案し,自らの経営判断として,募集事項を定め,引受けの申込みをしようとする者を募集することが想定されているのであるから,上記のような同法の趣旨が直ちに当てはまるものではない。今日,様々な商品設計の下に多種多様な社債が発行され,会社の資金調達に重要な役割を果たしていることに鑑みると,このような社債の利息を同法1条によって制限することは,かえって会社法が会社の円滑な資金調達手段として社債制度を設けた趣旨に反することとなる

  もっとも,債権者が会社に金銭を貸し付けるに際し,社債の発行に仮託して,不当に高利を得る目的で当該会社に働きかけて社債を発行させるなど,社債の発行の目的,募集事項の内容,その決定の経緯等に照らし,当該社債の発行が利息制限法の規制を潜脱することを企図して行われたものと認められるなどの特段の事情がある場合には,このような社債制度の利用の仕方は会社法が予定しているものではないというべきであり,むしろ,上記で述べたとおりの利息制限法の趣旨が妥当する

  そうすると,上記特段の事情がある場合を除き,社債には利息制限法1条の規定は適用されないと解するのが相当である

  前記事実関係によれば,本件において上記特段の事情の存在はうかがわれないので,本件社債に利息制限法1条の規定は適用されないというべきである」

 

(解説)

これまで、社債に利息制限法の適用があるかについては学説が分かれていた(適用肯定説として、鴻常夫『社債法』144頁注2、上柳克郎ほか編集代表『新版注釈会社法(10)』59頁〔上田宏〕、同91頁〔蓮井良憲〕、江頭憲治郎編『会社法コンメンタール(16)――社債』22頁〔今井克典〕などがあり、適用否定説として、江頭編・前掲337~338頁〔仮屋広郷〕、橋本円『社債法』(商事法務、2015)126頁などがあった)。

 

そうした中、本判決は、原則として、社債に利息制限法の適用はないことを明らかにした。

本判決は、社債の性質について明確に示しておらず、実質的観点(利息制限法の趣旨である経済的弱者保護が妥当しないこと、社債に利息制限法を適用すると円滑な資金調達を阻害しうること)から、上記結論を導いている。

 

そして、例外的に、利息制限法の規制を潜脱することを企図して行われたものと認められるなどの特段の事情がある場合には、社債にも利息制限法の適用を肯定する。

 

学説においても本判決の立場は支持されよう(下記参考文献参照)。

 

(参考文献)

本判決の評釈として、潘阿憲・法教 488号140頁。

同一論点に関する本件別訴事件の評釈として、森まどか・ジュリ1544号105頁、松中学・リマークス61号101頁。

 

 

今回の記事は以上です。

少しでもみなさんの参考になれば幸いです!!

それではまた!!!

  

 

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